日本語指導見学のインタビューと感想

2022.06.13

神奈川県厚木市にある株式会社小木曽製作所さんに、技能実習・特定技能の外国人従業員への日本語指導や関わるうえで大切にされている事についてお話をお伺いしました。

なぜ日本語指導に力を入れ始めたのか

外国人従業員への日本語指導に力を入れ始めた理由は、働き始めて数年経った外国人従業員の健診に同行したときの事だったそうです。
病院の方から健診にあたって日本語で指示された際、色や体の部位の名前などの簡単な日本語の単語が理解できていない様子に驚いたそうです。
工場では様々な機械を扱う業種で危険性もあるので、身の安全のためにもきちんと日本語を指導する必要があると感じ、本格的に始められたそうです。

日本人でも工場での仕事というと危険なイメージを持ちます。貴重な人材の身を守るため、そして少しでも安心して業務に取り組み、日本でやりがいや充実感を持って働いてもらうためには、仕事のノウハウ同等に言語の知識習得は欠かせないものの一つだと考えられます。

独自の日本語学習サイクル

今となっては、活用教材の充実や学びのサイクルを築かれている小木曽製作所さんですが、トライ&エラーを繰り返し、積み重ねてきたからこその今があると仰られていました。
最初は地域の日本語教室を利用されたこともあったそうですが、人によって実態やレベルは異なるために各々にあった指導を独自で行っていくことに方針を変えられました。

まず、小学生用の辞書(紙媒体)と日誌(日記)を配布し、毎日の出来事を書く取り組みです。できる限り漢字を使うこと、その日に覚えた語句をメモすることを日々継続させており、日誌は毎日社員の方々がチェック・コメントをされています。
また、テキストをレベル別に活用し、1年目の外国人従業員は漢字練習やテキストの宿題、絵本の音読等を用いた指導を行っています。
さらに業務の合間も有効活用されており、お昼の約5分を学習時間として設け各々が学習してつまずいている・分からないところを日本人従業員とマンツーマンで克服していく時間にされています。
目標として、日本に滞在中には日本語能力試験3級の取得ができるように日本人従業員も一緒になって励まれています。

積極的に質問する外国人従業員の方々のやる気と、親身にジェスチャーも交えながら応答される日本人従業員の方々の朗らかかつ充実した5分間に、見学している私たちも心が温まりました 。

何よりも一番大切にしている取り組み

日本語指導も大切にされていますが、会社従業員全体で一番力を入れていることは社内や住居共有スペースの美化・掃除でした。外国人従業員の住居スペースをリフォームし、家具や生活用品も全て企業さんが揃えています。その代わりに、綺麗に使ってほしいという思いがあります。

『国籍や文化、習慣によって掃除の仕方も違います。ですから「掃除して綺麗に使って」と伝えても、日本の掃除の仕方を知らないからできなくて当然!』と仰っていました。
道具を配給して、雑巾の絞り方から鏡の拭き方まで、社長さんが自ら見本を見せながら教えられています。毎朝就業前に従業員全員で清掃を行い、外国人従業員の掃除の成果を100点満点で評価されているそうです。高得点の人には、日本人従業員の方々がご飯に連れていってくれるご褒美も!

最初は自分の部屋を綺麗に管理できず、汚れや不衛生が目立ち大変だった時期があったけれど、日本人従業員が「日本の掃除」を丁寧に教えながら関わっていくことで、外国人従業員も自ら社内や部屋を綺麗に保つことが当たり前にできるようになったそうです。

単なる従業員と雇用関係であることを超えた、外国人従業員の立場に寄り添う視点の大切さを感じました。

共有スペース床ピカピカ!美しく保たれています
水垢ひとつありません!

愛情を持って人材と関わること

外国人従業員を雇用するうえで、近隣の地域住民の方からマナーの悪さを指摘されることがよくあるとお聞きします。知らない外国人の方がその地に定住することに対してよく思わない地域の方もいるようです。

確かに、外国人のマナーの悪さが原因の場合もあります。しかし、外国人に対する日本人の先入観が原因になっているかもしれません。日本という異国の地にやって来た外国人の方々は、言葉の違いで上手くコミュニケーションもとれないことにストレスや不安感が募るでしょう。これは当然のことです。

小木曽製作所さんでは、地域の方々にも外国人に対して良いイメージを持ってほしい思いから、地域の清掃や運動会にも積極的に外国人従業員と一緒に参加されています。さらに地域のスポーツチームに加入し、日本人との交流を深める外国人従業員もいるそうです。地域との交流を通じて、外国人の方と地域の方々との間に信頼関係が築くことができています。お互いを思いやる関係性ができあがり、自分の立場や行動に責任が持てることに繋がっていくのですね。

「外国人の技能実習生や特定技能生の人々がとにかく、日本に来て良かった、素晴らしい所だったと思って帰ってほしい。そのためには、私たち日本人がどれだけ愛情を持って彼らとよく関わるかが大切だ」と仰られていました。

日本語指導や掃除、地域貢献活動などのお話を聞かせて頂き、人に対してよく接すればその分、しっかり返してくれると信じて行動されていることがひしひしと伝わってきました。
彼らにとっても日本人にとっても居心地の良い環境づくりを目指されている小木曽製作所さんの姿勢に改めて、私たちもおもてなしの心や多国籍企業の社員一丸となり寄り添っていく必要性と素晴らしさを感じました。

小木曽製作所の社員の皆様、たくさんのご貴重なお話を親身にして下さり本当にありがとうございました。これからもより温かい企業づくりがなされますよう、KMT一同ご支援させて頂きますのでよろしくお願いいたします。

小木曽製作所様のHPは こちら

(記事 高村・岩崎)