特定技能外国人を受け入れる企業の方は、特定技能で永住権が取れるのかどうか気になっているのではないでしょうか。外国人を受け入れるなら、長く雇用したいと考えている企業主さんも多いでしょう。そこでこの記事では、特定技能で永住権が取れるのかどうかについてわかりやすく解説します。永住権取得のために必要な要件や特例、必要書類や手続きなど、永住権についての気になる疑問を解決していきます。
特定技能外国人を初めて受け入れる方はもちろん、特定技能1号の5年間が終わったあとはどうなるのか気になっている方もぜひ参考にしてみてください!
目次
特定技能2号は永住権を取得できる?まずは「永住権」について解説
特定技能には1号と2号がありますが、特定技能2号のみ永住権を取得できる可能性があります。特定技能1号には最大合計5年間という在留の上限が定められているため、永住権は取得できません。しかし、特定技能2号では、一定の条件が揃えば永住権を取得できます。
永住権とは、「永住者」の在留資格で在留できる権利のこと。特定技能2号の外国人が永住権を取得したい場合は、特定技能から永住者へ在留資格を変更する必要があります。永住権を取ったからといって日本人になるわけではなく、国籍は変えずに「永住者」の資格を取って日本に制限なく滞在できるようになります。永住者になると在留活動にも制限がなくなるため、日本での活動の幅が広がります。
特定技能2号は、2022年に一人目が認定されたばかり。今後永住権を取得する可能性のある外国人が増えてくることでしょう。
どうやったら「永住権」を取得できる?要件を満たす3つのポイント
日本に永く滞在したい外国人にとってはとても魅力的な永住権ですが、取得には要件があります。要件を満たすための3つのポイントは、以下のとおりです。
- 今までの素行に問題がない
- 経済的な自立のための資産や技能がある
- 永住が日本にとってもメリットになる
永住権というと取得が難しいもののように思えますが、特定技能を取得して2号として活躍していた外国人ならそれほど難しくないものかもしれません。永住権取得の要件を満たすための3つのポイントについて、詳しく解説します。
⑴今までの素行に問題がないこと
永住権取得の第一の要件は、素行に問題がないことです。永住権は、日本の法律を守って道徳的な考えを持って生活をしている外国人に与えられる在留資格。ウソをついたり人をだまして物を盗んだりしないことが要件のひとつなので、違法な行為をしていると永住権の取得ができません。駐車違反なども審査の時点で問題になる可能性があるので、普段の生活から注意が必要です。
ただ、特定技能外国人なら事前ガイダンスや生活オリエンテーションなどで、日本で問題となる行為についてはよく知っているはず。真面目な外国人には問題なくクリアできる要件かもしれませんが、自国では普通に行っていたことも日本では問題になってしまうこともあります。善良な行いは日本で生活するうえでとても重要なことのひとつ。もし外国人が問題のある行為をしていたときには、普段から意識して注意してあげることも大切です。
⑵経済的に自立するための資産や技能があること
永住権は、日本に永く滞在できる権利。そのため、日本で経済的に自立できるだけの資産や将来的に安定した生活ができるための技能があることが要件のひとつになっています。国や地方自治体が負担することなく、自立して日本の生活を送れる資産や技能があるかどうか判断されます。
特定技能2号を取得している外国人の場合は、専門的な技能を持って安定的な給料をもらって雇用されているので、問題なく暮らしていけるはず。特定技能外国人にはクリアしやすい要件といえます。もし今の企業から離れたとしても技能を有しているため、将来的にも安定して転職先が見つかりやすいでしょう。
自立するための資産や技能が必要なのは、申請者本人のみ。申請者の扶養する配偶者や子どもなどの家族には一定の資産や技能は必要ありません。
⑶申請する方の永住が日本にとってもメリットになること
申請者は、永住することが日本にとってメリットになることも求められます。つまり、日本に有害となる人物は受け入れができないということ。罰金や懲役などの刑罰を受けていないことや、保険料の滞納がないこと、届け出の未提出がないことなどを証明しなくてはなりません。なお、公衆衛生上有害となる場合にも在留資格「永住者」の取得が難しくなります。
また、原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必須条件です。この期間には特定技能1号として在留している時期は含まれないので、特定技能2号になってから10年以上の在留が必要になります。ただ、特定技能2号は無制限で更新ができるため、更新して10年以上になれば「永住者」の取得申請が可能です。
その他、例えば論文を発表した研究者で日本の研究に貢献した方や、指導者としてオリンピックやW杯への貢献をした方なども、永住権が認められています。逆に教師や通訳として日本で長い間働いていても、日本の社会的貢献に当たらないと判断されて永住権が認められなかったケースもあります。申請者の活動が、日本にとって有益となるかどうかがキーとなり、判断されるようです。
さらに!永住者になるためには日本国内に身元保証人が必要
日本での永住を希望している外国人が永住者になるには、日本国内に身元保証人が必要です。在日身元保証人は、安定した収入があれば雇用主さんでもなることができます。日本人と結婚している場合や家族・親族に日本人がいる場合にはその方に、特定技能として働いている場合は雇用主さんや同僚などになってもらうことが多いでしょう。
身元保証人には、永住を希望している外国人が在留中に法律を守って行動し、公的義務を正しく行うために必要な支援をすることを保証する必要があります。ただ、身元保証人だからといって、外国人に何かあったときに支払いが生じたり損害賠償金が請求されたりすることはありません。身元保証人になる方は、運転免許証やマイナンバーなど身分を証明する資料の提出が必要です。
特例もあり!配偶者や子どもが永住権を取得するには
永住権の取得には、原則として10年以上の日本在留が必要です。しかし、10年未満でも永住権の取得ができる特例があります。主な特例は以下のとおりです。
- 日本人・永住者・特別永住者が配偶者の場合:実体を伴う婚姻生活を3年以上継続し、引き続き1年以上日本に在留している方
- 配偶者の日本人・永住者・特別永住者の実子などの場合:1年以上継続して日本に在留している方
- 在留資格「定住者」で5年以上継続して日本に在留している方
- 難民の認定・補完的保護対象者の認定を受けた場合:認定後5年以上継続して日本に在留している方
- 外交、社会、経済、文化などの分野において日本への貢献があると認められ、5年以上日本に在留している方
- 高度人材外国人で、学歴・職歴・年収など「出入国管理及び難民認定法」に従って法務省出入国在留管庁が行う評価(高度人材ポイント制)で70点以上なら3年以上、80点以上なら1年以上日本に在留している方
特定技能2号は、家族帯同が認められている在留資格。特定技能の就労期間内は、2号外国人の配偶者や子どもは「家族滞在」の在留資格で日本に滞在ができます。しかし、家族滞在の在留資格から永住者の在留資格への移行はできません。
その代わり、特定技能外国人の配偶者や子どもが永住権を取得を希望する場合は、特定技能外国人と一緒に申請することが可能。申請者が永住権を取得できたら永住者と認められるため、永住者が配偶者の場合の要件が適用されます。そのため、日本在留が10年以内でも「実体を伴う婚姻生活を3年以上継続し、引き続き1年以上日本に在留していること」を条件に、永住権が取得できることが多いです。
永住権を取得するために必要な書類と手続き
特定技能2号なら、家族も取得できる可能性がある永住権。取得したいけれどどのような書類や手続きをしたら良いのかわからない方もいるでしょう。そこでここからは、永住権取得のための準備や手続きの方法を2つのステップに分けて解説します。
- 永住権取得に必要な書類
- 永住権取得の手続きと流れ
永住権取得の手続き方法を知っておくことで、初めての方でもスムーズに取得できるようになりますよ。それぞれのステップについて、詳しく解説します。
⑴永住権取得に必要な書類をご案内
特定技能2号や家族の方が永住権を取得するために必要な書類は、以下のとおりです。
- 永住許可申請書(ダウンロードはこちら)
- 写真(縦4cm×横3cm)※16歳未満は不要
- 理由書(日本語でない場合は翻訳文も提出)
- 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票(マイナンバーのみ省略)
- 在職証明書
- 直近5年分の住民税の課税証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
- 直近5年間において住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書等)
- 源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)
- 所得を証明するもの(預貯金通帳の写し、 Web通帳の画面の写しでも可)
- 直近2年間の「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)※基礎年金番号は黒塗りにする
- 直近2年間のねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面 ※基礎年金番号は黒塗りにする
- 直近2年間の国民年金保険料領収証書(写し)※基礎年金番号は黒塗りにする
- 健康保険被保険者証(写し)※保険者番号及び被保険者等記号・番号は黒塗りにする
- 資産を証明する資料(預貯金通帳の写し、不動産の登記事項証明書等)
- 申請人のパスポート(旅券)又は在留資格証明書
- 申請人の在留カード(資格外活動許可書の交付を受けている方は、資格外活動許可書も提示)
- 身元保証書(ダウンロードはこちら)
- 身元保証人の身分事項を明らかにする書類(運転免許証写し等)
- 我が国への貢献に係る資料(表彰状、感謝状、叙勲書等の写し、推薦状など)※ある場合のみ
- 了解書(ダウンロードはこちら)
「家族滞在」の場合は以下のいずれかの証明書も必要になります。
- 戸籍謄本(全部事項証明書)
- 出生証明書
- 婚姻証明書
- 認知届の記載事項証明書
- 上記に準ずるもの
また、申請者が本人でない場合には、この他身分を証する文書などを提出する必要があります。
永住権というだけあり、必要書類がたくさんあるため永住権を取得すると決まったら早めに準備を整えておきましょう。
⑵これでバッチリ!永住権を取得するための手続きと流れ
永住権を取得するためには、在留期間の満了する日より前に申請を行わなくてはなりません。もし申請中に在留期間が過ぎてしまう場合には、満了日までに在留期間更新許可申請を行う必要があります。上記の必要書類を揃えて、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に提出します。
審査には通常4ヶ月ほどかかります。審査後に結果の通知があり、申請が許可されると入国管理局で手続きを行いますが、そのときに8,000円の手数料がかかります。その後外国人登録の変更手続きを行い、手続きは完了です。
永住権は、7年間に1度の更新が必要です。更新は在留期間満了日の2ヶ月前から行うことができます。更新を忘れてしまうとせっかく取得した永住権が失われてしまう可能性も。満了日をチェックし、永住権を取ったからといって安心せず、更新を忘れることのないようにしましょう。
まとめ|特定技能2号なら永住権の取得に期待できる!
特定技能1号では5年後に帰国しなければならない外国人ですが、特定技能2号に移行することで永住権が取得できる可能性が出てきます。一定の条件はありますが、特定技能を取得した外国人にとっては要件をクリアすることは難しいことではないでしょう。特定技能外国人を受け入れる企業主さんも、長い目で外国人を雇うことができますね。
とはいえ、ひとつひとつ要件をチェックして必要資料を集めるのは案外大変。登録支援機関にサポートを頼むのもおすすめです。トータルサポートを行うKMTでは、特定技能外国人が戦力となるまでの全てをサポート。特定技能外国人の支援実績が高いKMTに、まずは相談してみてください。