2019年に新しく導入された特定技能は、よく分からないことも多いもの。「受け入れるためにはどのくらいの費用がかかるの?」と疑問に思っている方もいるでしょう。

そこで今回は、特定技能での受け入れにかかる費用について分かりやすく解説します。登録支援機関や送り出し機関への支払い額についてもご紹介。受け入れに関わる費用がどのくらいなのか知りたい方は、是非チェックして予算と照らし合わせてみてください。

受入れ前にかかる費用とは?企業と申請人(外国人)それぞれで解説!

受入れ前にかかる費用とは?企業と申請人(外国人)それぞれで解説!

まずは、受け入れ前にかかる費用についてチェックしておきましょう。受け入れるためには大きく分けて2種類の費用がかかります。

  • 【企業】登録支援機関への支払い
  • 【外国人】送り出し機関への支払い

海外から特定技能の外国人を受け入れるために、登録支援機関を使う企業がほとんど。受け入れ側の企業は登録支援機関に、外国人は外国人を送り出す機関に支払いを行う必要があります。
※場合によっては、送り出し機関を通さないパターンもあります。

それぞれの支払い内容について、詳しく解説します。

【企業】登録支援機関への支援費の支払い

受け入れ企業が特定技能の外国人に関する業務を登録支援機関に委託する場合は、登録支援機関に支援費を支払う必要があります。その金額は企業によって様々ですが、初期費用としてトータル30~40万円が相場となっていると考えて良いでしょう。そのうち、行政書士への支払いには少なくとも10万円はかかります。

初期費用の30~40万円の中には、人材紹介料、受け入れる外国人に対して行う事前ガイダンスや生活オリエンテーション料、また入居手続きや銀行口座開設手続きの同行などの費用が含まれてることがほとんどです。

中には初期費用が10~15万円と安い登録支援機関もあります。ただ上記のサービスが含まれていないことも・・。上記の支援は、企業側が行う義務的支援となっていますので、登録支援機関を利用する場合は、保証してくれる支援内容をチェックしておく必要があるでしょう。

弊社では、初回に係るすべての手続き含めて30万円となります。価格設定やサービス内容は登録支援機関によって異なるので、どの登録支援機関に委託するのか、費用と照らし合わせながら考えてみましょう。

【外国人】送り出し機関への支払い

海外から外国人を受け入れる場合は、外国人が送り出し機関へ支払いを行う必要があります。外国人が払う費用の目安は25~35万円程度。国により送り出し機関に支払う上限額が決まっています。

ベトナム・インドネシア・カンボジアだと3000ドル前後が相場となっております。その費用の中に、日本行きの航空券が含まれている会社もあれば、ない会社もあります。

我々KMTが取引している送り出し機関は各国で約20社ほどあります。手数料やその中に含まれているモノ・サービスは送り出し機関によって様々です。先ほど記載した日本行きの航空券の他、入国前の健康診断のお金、日本大使館でのビザ申請費用のお金、現地国内で書類を送る際の送料、そして、それらの案内サービスです。

安価なところ(1500ドル〜)は外国人(申請人)が実費で払うことがほとんどで、案内サービスも良心的ではないので自身で責任を持って調べて手続きを進めていく必要があります。逆に3000ドルの手数料を取る送り出し機関は現地側で必要となる全ての手続きを責任もってやってくれます。

日本での採用が決まった外国人側に特にどこの送り出し機関を通すのかこだわりがなければKMTの取引ある安価な送り出しを通してもらっています。これまで何百人と日本へ入国をさせてきた実績があります。送り出し機関と弊社KMTはしっかり連携し、入国まで進めていくのでご安心ください。

どの送り出し機関を通すかは本人の自由ですが、入国前後の金銭トラブルが起こらないようできるだけ外国人側にかかる費用は抑えたいところ。国により手数料の上限額が決まっているにも関わらず、上限を超えた額(4000ドル以上)の支払いを要求する悪質な送り出し機関が存在することも事実です。企業側も受け入れる外国人がどのくらいの支払い額を支払う予定なのかを事前に確認しておくと良いでしょう。

受入れ後にかかる費用って?支援費を本人負担させるのはNG!

受入れ後にかかる費用って?支援費を本人負担させるのはNG!

外国人受け入れでは、受け入れ後にかかる費用も気になります。受け入れる企業は、以下の2種類の支払いを続ける必要があります。

  • 登録支援機関への支援委託費
  • 給与・家賃援助など

受け入れ後、入管庁が定めた特定技能外国人に対する義務的支援費は受け入れ企業側が支払う責任があります。住居の確保部分で、アパートの初期費用などは外国人に払ってもらってもいいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、本人負担にさせることは原則、認められていません。

受け入れ側の企業が支払うべき、それぞれの費用の詳細について、解説します。

【企業】登録支援機関への支援委託費が2~3万

企業が受け入れ後に支払うべき費用の一つ目が、登録支援機関への支援委託費です。

費用の目安は毎月2~3万円。登録支援機関を使わずに自社で受け入れの全てを担うと、大きな負担になってしまいます。しかし、登録支援機関に頼むと2~3万円で大切な業務を担ってくれる特定技能の外国人を安定的に雇うことができます。

初めに30~40万ほどのまとまったお金を払う必要がありますが、一度受け入れてしまえば月に2~3万円程度を登録支援機関に支払えば良いので楽。これは受け入れ側にとってのメリットと考えられます。

技能実習では月に4万円が平均的で、企業によっては月に8万円払っているところもあります。特定技能の外国人は、技能実習生に比べても比較的費用を抑えながら受け入れることができるでしょう。

【企業】給与・家賃補助など

企業が受け入れ後に支払うべきもう1つの費用が、給与や家賃補助などの雑費用です。給与は、同じ業務を日本人にしてもらった時と同じかそれより高い額を、特定技能の外国人にも支払う必要があります。

特定技能の外国人は、技能実習生と比べると登録支援機関への支援委託費が安くなる一方、給与は高くなる傾向があります。

また、家賃や水道光熱費などは、外国人個人では契約が難しいため、受け入れ企業がサポートする必要があります。費用の負担率は、企業によって様々です。家賃4万円のアパートを契約し、その全額を本人が負担しているケースもあります。

その他、気になることがあればお気軽にご相談ください。

まとめ|費用相場を把握して適正な受入れを!

まとめ|費用相場を把握して適正な受入れを!

特定技能の外国人の受け入れは、先が見えずに迷ってしまうことも多いでしょう。しかし、費用がどのくらいかかるのかを把握しておくことで、適正な受け入れをしやすくなり、外国人に不当に費用を負担させてしまうことも予防できます。

もし受け入れを迷っているなら、今回紹介した費用の相場を参考に、かかる費用を計算しておきましょう。受け入れ前、受け入れ後のそれぞれに分けて考えると、費用の概算を整理しやすくなりますよ。

メインとなる支払額を確認し、適切な受け入れを実現させましょう。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。