「ベトナム人を特定技能で受け入れたいけれど、どうしたら良いのか分からない。」と悩んではいませんか?特定技能の外国人の受け入れといっても、国によって必要書類が異なります。

今回は、ベトナム人を特定技能で受け入れるための流れや必要な手続き・書類を徹底解説。読めばどのような手続きが必要かが分かります。

また、ベトナム人を受け入れるための注意点もご紹介。受け入れの準備を整えてスムーズに受け入れをしたい方はチェックしてみてくださいね。

【2パターンあり】ベトナム人の手続きは特殊!

【2パターンあり】ベトナム人の「特定技能」手続きは特殊!

ベトナム人の特定技能の手続きは、他の国の受け入れの手続きとは違うのが特徴。受け入れのパターンは2種類あります。

  1. ベトナム現地からの呼び寄せ
  2. 日本在住のベトナム人

ベトナム人を現地から特定技能として呼び寄せる場合と日本にすでに在留しているベトナム人を特定技能として受け入れるのでは、手続きの方法が異なります。

同じように手続きを進めてしまうと認められなくなってしまうので、ケースごとに知っておくことが大切です。それぞれのパターンの手続き方法について、詳しく解説します。

【パターン1】ベトナム現地からの呼び寄せの場合

ベトナムにいるベトナム人を特定技能として受け入れる場合は、送出機関を通して受け入れを行う必要があります。この送出機関が、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)にて必要な手続きを行うことと決められています。

ベトナム現地からベトナム人を技能実習として呼び寄せる場合にも、送出機関を通すことが義務づけられていますが、特定技能として受け入れる場合にも送出機関を通すことが必要です。

例え技能実習2号や3号を良好に終了したベトナム人でも、もう一度DOLAB認定の送出機関を通して求職を行う必要があります。ベトナム現地のベトナム人を特定技能として直接雇用することは認められず、必ず送出機関を通さなければならないことを覚えておきましょう。

【パターン2】日本在住のベトナム人の場合

日本在住のベトナム人を特定技能として受け入れる場合は、ベトナムの送出機関を通す必要はありません。ハローワークや日本の職業紹介所、オンライン求人などを通して、求人募集に直接応募することができます。

技能実習2号や3号を良好に終了したベトナム人は、技能試験及び日本語試験は免除されます。一方留学生など技能実習生ではない場合は、技能試験と日本語試験に合格しておく必要があります。

また、特定技能1号で5年以上日本に在留している場合は新たな特定技能の対象とはなりません。

受け入れ機関と雇用契約が結ばれたら、駐日ベトナム大使館で手続きを行います。手続きを行うのは、受け入れ機関でもベトナム人労働者本人でもどちらでも構いません。

【最新版】2021年2月15日~|推薦表が必須に!

【最新版】2021年2月15日~|推薦表が必須に!

2021年の2月15日から、ベトナム人を特定技能として受け入れるためには推薦表が必要になりました。ベトナム人の受け入れに必要な推薦表について、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 国内における推薦表の取得方法
  2. 申請から取得までの期間
  3. 国外の場合

推薦表は、ベトナムの法令に従って必要な手続きを行った者であることを証明するものです。推薦表の申請も、国内にいるベトナム人の場合と国外在住のベトナム人の場合では手続きの方法が異なります。

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

国内における推薦表の取得方法とは?

日本国内に在留するベトナム人の推薦表を取得するためには、駐日ベトナム大使館での承認を受ける必要があります。申請者は、ベトナム人労働者本人、受け入れ機関、登録支援機関、職業紹介事業所のいずれでも構いません。

推薦表を手に入れたい場合は、まずは特定技能外国人表交付申請書を駐日ベトナム大使館労働管理部でもらいます。そこに必要事項を記入し、以下の書類と共に在日ベトナム大使館労働管理部に郵送しましょう。

  • 特定技能外国人表(添付2)
  • パスポートの写し
  • 住民票
  • 卒業証明書の写し
  • 特定技能の評価証明書
  • 返信用封筒

推薦状は、技能実習を終了した方や日本国内において少なくとも2年間の課程を修了してその証書を取得する学校を修了した留学生が受けることができます。また、まだ勉強中でも卒業見込みの学生も、その旨を記載することで取得することが可能です。

どれくらいかかる?申請から取得までの期間

ベトナム人を特定技能として受け入れるためには、どのくらいの期間が必要なのでしょうか?申請から取得までの期間は、約1週間ほどかかります。かかる期間の目安は以下のとおりです。

手続き内容 日数の目安
書類集め 1日
ベトナム大使館へ郵送 2日
ベトナム大使館が推薦表作成 2日
ベトナム大使館が推薦表発送 2日

申請には、必要な書類を集めて郵送し、推薦表をベトナム大使館に作成して発送してもらう必要があります。推薦表の取得までには1週間程度かかるので、余裕を持って手続きを行いましょう。

なお、在留資格が「特定技能」の方は推薦表がいらないので、その分短い期間で在留カードが取得できます。すでに「特定技能」のベトナム人が転職や在留期間を変更する場合は、在留カードをもらって働くまでの時間が短くなりますね。

国外の場合は?送り出し機関に依頼しましょう

国外に在留するベトナム人の受け入れには、DOLABを通した手続きが必要です。ベトナム人を国外から受け入れる場合に必要なのが、DOLAB認定の送出機関。この送出機関のみが、ベトナム人の受け入れに関する手続きを行うことができます。

国外のベトナム人を特定技能として雇用することが決まったら、送出機関に依頼して推薦表を取得してもらいましょう。受け入れ機関は、DOLABに労働者提供契約の申請を行うように送出機関に依頼します。

そしてベトナム労働者本人は、送出機関に頼んでDOLABに推薦表の申請をし、認めてもらう必要があります。受け入れ機関は、送出機関に推薦状を申請するようベトナム労働者本人に伝えておくと良いでしょう。

【注意点】ベトナム人を受けれいる際に注意すべきこと

【注意点】ベトナム人を受けれいる際に注意すべきこと

日本人の気質に合いやすいと言われているベトナム人。日本で働く方も多いですが、ベトナム人を受け入れるためには、注意すべきポイントもあります。注意すべき点は、以下のようなものです。

  • 賃金設定
  • 言葉の壁

外国人の中でもベトナム人は仕事のできる方が多く、一般的な外国人のイメージとは違います。そのため、賃金において受け入れ機関は注意しておくことが大切です。また、やはり言葉の壁もあるので、その点にも注意が必要。それぞれの注意点について、詳しく解説します。

賃金設定|日本人と同等以上が必須!

ベトナム人の賃金は、同じ業務をこなす日本人と同等か、それ以上と定められています。特別な理由なく日本人よりも安い賃金を支払うことは違法です。受け入れ機関は、日本人に支払うのと同じく賃金設定をするようにしましょう。

技術の高いベトナム人は、それに見合った賃金を要求してきます。日本人であれベトナム人であれ、技術の高い方に高い賃金を支払うのは当たり前。外国人だから賃金は安く済むだろうという考えは通用しません。

ベトナム国内の賃金は日本よりも安いので、働く側としては日本で働くことは大きなメリットとなります。日本人と同じ賃金を払っていても、ベトナム人労働者の満足度は比較的高いことが多く、それが真面目な働き方につながっているのかもしれません。

言葉の壁|日本語教育やマナー研修を積極的に取り入れましょう

ベトナムで育ったベトナム人には言葉の壁があり、日本の文化を知らないことも多いです。日本人特有の礼儀やマナー、常識などは通用しないと思った方が良いでしょう。だからこそ、日本語教育やマナー研修などを取り入れて、日本語や日本文化について知ってもらう必要があります。

外国人労働者として中国人の次に多いベトナム人ですが、中国人よりも真面目で勤勉な方が多いのが特徴。明るく社交的で家族を大切にする国民性があり、日本での生活に馴染みやすいと言われています。

日本人と似て真面目な方が多いので、日本語やマナーなどもすぐに習得してくれるでしょう。日本のことを知ったベトナム人となら働きやすいはず。積極的に日本語教育やマナー研修などを取り入れましょう。

まとめ|国民性を理解した上で受入れをしよう

勤勉で明るいベトナム人労働者は、魅力的。一方で、プライドが高く未来のことを考えるのが苦手という一面もあると言われています。そのような国民性を理解し、十分に教育できる準備を整えてからベトナム人の受け入れを行うことが大切です。

ベトナムの受け入れ方法の特徴は、「推薦表が必要」なことと「送出機関を通す必要がある」こと。推薦表の取得には1週間程度かかるので、余裕をもって手続きを行うことも大切です。国民性を理解した上で、優秀なベトナム人を受け入れましょう。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。