「特定技能の外国人を個人(農業)で受け入れたいけど、イメージが湧かない」と悩んでいる方はいませんか?個人で農業における特定技能の外国人を受け入れるには、労働保険の加入や協議会の加盟など、欠かせない手続きがあります。

今記事では、農業分野で特定技能の外国人を個人で受け入れるときに必要な手続きについて、詳しく解説します。受け入れる際の注意点も紹介するので、読んでスムーズに受け入れができるように準備しましょう。

個人(農業)の受入れ後に必要な5つの手続きをご紹介!

個人(農業)の受入れ後に必要な5つの手続きをご紹介!

特定技能の外国人を個人で受け入れた後にするべき、知っておきたい手続きがあります。農業分野での受け入れ後に必要な手続きは、以下の5つです。

  1. 労働保険加入
  2. 協議会の加盟
  3. 定期報告・面談
  4. 在留資格の更新
  5. 昇給や有給休暇の付与

特定技能の受け入れがスムーズに完了したからといって、それで終わりではありません。受け入れ後にもすべきことがあるので、1つ1つ済ませておきましょう。農業分野において受け入れ後に必要になるそれぞれの手続きについて、詳しく解説します。

①労働保険加入|労災保険&雇用保険

基本的に、外国人であれ日本人であれ日本で働く場合には労働保険への加入が義務付けられています。労働保険とは、労災保険や雇用保険のこと。労働保険保険関係成立届を事業所の管轄の労働基準監督署に提出する必要があります。

ただ、社会保険は従業員が5人未満の個人事業主で農林漁業、サービス業以外の職種の場合は、任意の加入が認められています。社会保険とは、厚生年金保険と健康保険のこと。ここで、将来母国に帰る可能性のある特定技能の外国人には厚生年金保険の支払いが必要なのかと疑問に思う方もいるかもしれません。

しかし、年金保険料には払い戻し制度などがあるので、日本で働いてもらうとなれば任意といえども加入させておきたいものです。

②協議会の加盟|農林水産省が管轄!

初めて農業分野で特定技能の外国人を受け入れる場合は、法人でも個人でも農業特定技能協議会に加入しなければなりません。農業特定技能協議会は、農林水産省が管轄しているため、農林水産省のホームページで手続きが行えます。

加入フォームから必要事項を入力することで手続きを完了できます。その際、以下の項目への記入が必要になるので、分かるようにしておきましょう。

  • 特定技能の在留カードの交付日
  • 特定技能外国人材の在留カード番号
  • 労働者派遣事業の許可番号/旧特定労働者派遣事業の届出受理番号(派遣雇用の場合)

受け入れ機関は、受け入れ後4ヶ月以内に農業特定技能協議会への加入が義務づけられています。忘れずに加入手続きを行いましょう。

③3か月に1回の定期報告・面談

特定技能の外国人を受け入れた後は、受け入れ側は3ヶ月に1回定期的に地方出入国在留管理局(入管)への報告及び労働者との面談を続ける必要があります。毎回労働基準法にのっとった働き方であることと生活状況に問題がないかを確認し、もし問題があれば入管に報告しなければなりません。

面談は外国人の分かる言葉で行う必要があり、個人で受け入れを行う場合は外国語の話せる人材は必須です。面談内容は、労働時間や賃金などの仕事上の説明から入管法違反の問題、住居や生活面での相談、緊急事態時の説明など、多岐に渡ります。

面談により、長時間労働や残業金未払いはもちろん、生活上の困難など外国人労働者の抱える思わぬ問題が明るみに出ることも多いので、働きやすい職場を作るためにも面談は必ず定期的に行いましょう。

④在留資格(ビザ)の更新(1年に1回以上)

特定技能には1号と2号がありますが、2号が認められるのは建設、造船・舶用工業のみ。農業分野に従事する外国人に与えられる特定技能の在留資格は、1号です。

特定技能1号の在留資格(ビザ)の更新期間は「1年、6ヶ月、4ヵ月」ごとのいずれか。1年に1回以上のビザの更新手続きを行う必要があります。なお、6ヶ月以上の在留期間がある方は、ビザ終了日の3ヶ月前から更新の手続きを行うことができます。

ビザの更新には、在留期間更新許可申請に関する書類を出入国在留管理局に提出する必要があります。その際、従業員が5人以上の場合は社会保険料を支払っているか、素行が良好かどうかなども確認されるので、随時チェックしておきましょう。

審査にかかる期間は、2週間から1ヶ月程度です。

⑤昇給や有給休暇は積極的に!

特定技能の外国人を受け入れる場合の賃金は、同じ業務をこなす日本人と同等かそれ以上に設定することが決められています。また、一時帰国を希望した場合の有給休暇の取得を許可しなくてはなりません。

外国人だからといって、日本人より安く雇用しようとするのは間違い。外国人も日本人も昇給を望んでいます。特に勝手の違う外国で働く外国人には、ゆったりとした気持ちで仕事ができるに越したことはありません。

昇給や有給休暇を積極的にとることで、働き手のモチベーションが上がり、会社の経営もスムーズになるはず。とはいえ、あまり長い有給休暇は与えられないこともあります。昇給や有給休暇の内容については、雇用契約時に事前に説明して理解してもらっておくのが良いでしょう。

KMTならすべての業務を一貫してサポートします!

KMTならすべての業務を一貫してサポートします!

登録支援機関を使わずに、個人でも特定技能の外国人の受け入れはできます。しかし、外国語の話せる人材の確保や、面談やビザの更新各種手続きや支援計画の作成など、専門的な知識が必要な分野もあり、個人での受け入れは思った以上に大変です。

受け入れの手続きに手間取ってしまい、受け入れ企業の業務がスムーズにいかなくなってしまうことも。そんなときには登録支援機関に業務を委託してしまうのがおすすめです。

KMTは、上記すべての業務を一貫してサポート。これまで特定技能の受け入れを行ったことがない個人事業主にもサポートが可能です。

KMTは、2019年に登録支援機関として登録を完了し、カンボジア語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語、英語の計5カ国語に対応しています。関東に限らず日本全国で支援ができますので、お気軽にご相談ください。

農業分野で受入れる際の注意点とは?

農業分野で受入れる際の注意点とは?

特定技能の中でも、農業分野を受け入れる場合は他の分野とは違う注意点があります。注意点は、以下の3つです。

  1. 給与明細や賃金台帳を準備
  2. 有給管理簿でしっかり管理
  3. 転職の可能性も視野に

農業分野は特に天候の影響をうけやすいため、労働時間がバラバラになりがち。給与明細や賃金台帳、有給管理簿などで、きちんと記録をつけておくことが大切です。記録を忘れていると、報告に手間取ってしまうことにもなりかねません。

それぞれの注意点について、詳しく解説します。

給与明細や賃金台帳は準備しておきましょう

特定技能を農業分野で受け入れる場合は、賃金の管理を適正に行うことが大切です。他の分野と違い、農業は気候や天候により大きな影響を受けてしまうため、労働時間・休憩・休日のルールに限り、労働基準法に沿っている必要はありません。

しかし、労働時間・休憩・休日の例外を除き、農業でも他の分野と同じように労働基準法に沿った雇用が必要です。給与明細や賃金台帳は入管への定期報告で必要なので、準備しておきましょう。

賃金の詳細が分かるため、できれば賃金台帳を用意しておくのがおすすめ。後で見返しても分かりやすいように記載しておきましょう。賃金台帳は、支払いのたびに記載しておくと漏れなく記入できます。

最低賃金が守られていること、雇用契約時の約束が守られていることなどを随時確認しておくことも大切です。

有給管理簿で管理をしっかりおこないましょう

特定技能の外国人にも、日本人と同じように有給休暇を与えなければなりません。外国人が母国に一時帰国したい場合や日本に外国人労働者の家族が来た場合にも、有給休暇を与える必要があります。

もし規定の有給休暇を使い切ってしまってさらに休暇を希望された場合は、無給でも休みを認めるのが望ましいとされています。

企業の規定により有給休暇を取れる日数は異なりますが、農業分野は体力を消耗する仕事なこともあり、年に最低5日は必ず取得させることが必要です。有給休暇の日数は、有給管理簿でしっかりと管理しておくと、後で何日残っているのか分からなくることがありません。

年度末の定期面談の際にもし有給休暇を取っていない特定技能の外国人がいた場合は、取るように勧めましょう。

転職してしまう可能性も視野に入れておこう

特定技能の外国人は、転職が可能です。そのため、せっかく受け入れても他の企業に転職してしまうのではと不安になっている方もいるでしょう。確かに特定技能の外国人は、転職してしまう可能性があります。

しかし、特定技能の外国人が転職するためには、働きながら自分で転職先を見つける必要があります。仕事をしながら就職先を探すうえ、もし転職先が見つかったら自分で在留資格の変更手続きを行う必要があります。さらに、農業分野以外の分野で働く場合は技能試験も受けなければならず、転職は困難です。

それでも転職の可能性があるからこそ、受け入れ側は外国人とこまめにコミュニケーションを取り、受け入れ機関で長く働いてもらうような体制を整えることが大切です。

まとめ|お互いにとってWinWinな関係の構築を!

まとめ|お互いにとってWinWinな関係の構築を!

高齢かした日本では、農業分野での深刻な人手不足が見られます。そんな日本の救世主となるのが特定技能の外国人。しかし、特定技能の外国人を個人で受け入れるのには、必要な手続きやサポートが多く、苦労が伴います。

手続きが大変だと感じたら、登録支援機関に業務を委託してみるのがおすすめ。受け入れ側の業務が楽になるうえ、外国人労働者も専門的な知識と理解できる言語によるサポートに安心できるでしょう。まずはKMTに相談し、お互いにとってWinWinな関係を築いてみてはいかがでしょうか。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。