「特定技能の在留資格取得のためにそろそろ試験を受けなくてはいけないけれど、一体何をしたらいい?」と悩んではいませんか?試験を受けることは分かっていても、具体的にどんな試験なのか分からない方も多いでしょう。
そこで今記事では、「特定技能試験」について詳しく解説!申し込み方法やスケジュール、やっておくべき問題集も紹介します。特定技能外国人が試験をこれから受けるなら、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
そもそも「特定技能試験」とは?概要を解説!
初めて特定技能を取得するために必要な「特定技能試験」とは、どのようなものなのでしょうか?まずは特定技能外国人が受ける特定技能試験について、基本を押さえておきましょう。試験を受けるうえで知っておくべきポイントは、以下の4つです。
- 受験資格
- 実施場所
- 申し込み方法
- 試験日程
試験について知っておくことで、特定技能外国人がスムーズに試験を受けられるようになるでしょう。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
【受験資格】在留資格があれば誰でも受験可能!
令和2年4月1日から、特定技能国内試験の受験資格が拡大しました。
以前は短期滞在では受験ができませんでしたが、在留資格がある17歳以上の方は誰でも受験が可能に。中長期在留者でなく、かつ、過去に日本に中長期在留者として在留した経験がない方でも在留資格さえあれば特定技能試験を受けられるようになったので、より受けやすくなったといえるでしょう。
ただ、試験に合格したからといって「特定技能」の在留資格がもらえるわけではないので、注意が必要です。例えば技能実習中に失踪してしまった技能実習生は、受験資格はありますが「特定技能」の資格が付与される可能性は低いでしょう。例え失踪せざるを得ない状況であったとしても、失踪は大きなマイナスポイントとなるのです。
【実施場所】国内外で受けられる!
特定技能試験は、国内外で受けられるものがほとんど。日本語試験は国内でも国外でも受けられますが、各分野の技能試験は国内でのみ実施している分野もあります。2022年5月現在予定中の国外の受験場所は、以下のとおりです。
- フィリピン
- カンボジア
- モンゴル
- ネパール
- インドネシア
- インド
- スリランカ
- タイ
実施場所や実施状況は各分野でかたよりがあり、自動車整備業や農業では47都道府県、209か所の会場で国内試験が行われていますが、外食業では宮城・東京・神奈川・愛知・大阪・福岡の計6都市と少ない会場で行われています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、しばらく実施されていなかった特定技能試験も、徐々に実施できるようになってきました。実施場所の予定は随時追加・変更されるので、各分野のホームページをチェックしてみてください。
【申し込み方法】オンラインで申し込みできる!
特定技能試験には、オンラインで申し込みができます。各分野を管轄する省庁のホームページをチェックし、指示に従って申し込みを済ませましょう。
申し込み方法をまとめたウェブサイトは、最新の情報ではないことがあります。必ず公式サイトで、最新情報を確認するようにしましょう。公式サイトのリンクは、以下のとおりです。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- 日本語能力試験(JLPT)
- 介護分野(技能・日本語評価試験)
- ビルクリーニング分野
- 素形材産業・産業機械製造業・電気電子関連産業分野
- 建設分野
- 造船・舶用工業分野
- 自動車整備分野
- 航空分野
- 宿泊分野
- 農業分野
- 漁業分野
- 外食業・飲食料品製造業
試験2ヶ月前から予約できる分野もあるので、早めにチェックして試験の申し込みを済ませましょう。
【試験日程】入管の支援サイトをチェック!
試験のスケジュールを調べるなら、出入国在留管理庁(入管)の支援サイトが便利です。特定技能試験の開催国と日程が一覧で見られるようにまとめられているので、ぱっと見つけやすいのがポイント。受けたい試験をすぐに見つけることができます。
ただ、入管の支援サイトは各分野のホームページをもとに作られているので、最新情報ではない可能性があります。しっかりと確認したい場合は、やはり上記にご紹介した各分野や団体のホームページをチェックすることをおすすめします。
試験の日程は随時追加されるのもポイント。こまめにチェックして、最新の試験情報を見逃さないようにしましょう。
「特定技能」を取得するための試験は2つ!
特定技能は魅力的な在留資格ですが、取得するためには2種類の試験に合格する必要があります。合格すべき試験は、以下の2種です。
- 各分野の技能試験
- 日本語試験
2つの試験に合格することで、特定技能取得への道は大きく縮まります。特定技能試験は、企業の即戦力になるためにパスすべき試練。特定技能取得のための2つの試験について、それぞれ詳しく解説します。
①全14種!各分野の技能試験
特定技能を取得するためには、14分野それぞれの技能試験に合格しなければなりません。試験は日本で即戦力として働くための技能水準が満たされているか、判断するために行います。学科試験と実技試験を合わせた試験で、日本語で実施されることがほとんどです。
パソコンを見ながら回答するコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式を採用している分野が多く、パソコンに慣れている外国人には受けやすい試験といえるでしょう。
合格基準は60~65%程度の分野が多く、合格率は分野ごとに大きく異なります。介護分野では65.4%(2021年10月実時点)、ビルクリーニングでは73.9%(2021年4・5月時点)、造船・舶用工業分野では100%(2021年月時点)、航空分野では36.4%(2021年8月時点)となっています。
②2種のうち1つ合格でOK!日本語試験
特定技能を取得したい外国人は、技能試験の他に日本語試験も受けなければなりません。2種の日本語試験のうちいずれかに合格する必要があります。
- 日本語能力試験(JLPT)
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
JLPTはマークシート方式、JFT-Basicはコンピューター・ベースト・テスティング(CBT)方式で行います。JLPTではN4以上、JFT-BasicではA2レベル程度の実力で合格とみなされます。どちらもレベルは同じようなもので、JLPTは読み書きが得意な方におすすめ、JFT-Basicは日常会話が得意な方におすすめです。
技能試験と日本語試験の両方に合格したら、企業と雇用契約を結んで在留資格「特定技能」を申請し、晴れて日本で働くことができるようになります。
技能実習2号修了者は試験が免除!
ここまで特定技能を取得するための試験について解説してきましたが、特定技能試験は必ず受けなければならないのでしょうか?
実は特定技能試験は、技能実習2号を良好に修了した外国人は受ける必要がありません。日本語試験と技能試験の両方が免除になります。
技能実習2号を良好に修了していれば、即戦力として働くために十分な日本語と技能を習得しているとみなされるため、評価試験を受ける必要がありません。もし雇用主の方がいきなり試験を受けさせるのは難易度が高いと考えるなら、技能実習から始めてみる方法もあります。
実際、特定技能を取得した外国人は現在のところ技能実習からの移行がほとんど。新型コロナウイルス感染予防のために試験が実施されていないこともありますが、技能実習からの移行が比較的楽な特定技能取得ルートとなっているのは事実。まずは技能実習から始めることを検討してみるのも良いでしょう。
合格するために!勉強方法をご紹介!
一発合格で特定技能が取得したいなら、計画的に勉強して試験に備えておくことが大切です。おすすめの勉強方法は以下の4つです。
- 技能試験対応の無料テキスト
- 外国人向け学習サイト
- 日本語力向上教材
- 各分野が公表する過去問
特定技能試験はお金を払って受けるもの。勉強しないで試験を受けると、試験料が無駄になってしまいかねません。気持ちよく合格するために、それぞれの教材について詳しく解説します。
①技能試験対応の無料テキスト!
各分野のホームページ内試験案内には、無料テキストが載っていることがあります。ぜひチェックして、勉強に役立ててみてください。
【無料テキスト】
介護分野は、丁寧にも多ヶ国語でテキストを無料配布しています。介護分野は、特別に「介護日本語評価試験」にも合格しなければなりませんが、無料テキストがあるので心強いですね。
まんが形式で読みやすいテキスト。これなら勉強もバッチリです。
無料テキストに加え、学科・実技のサンプル問題でしっかり学習できます。
科目別に多ヶ国語で無料テキストを配布しています。
【サンプル問題】
その他、サンプル問題が掲載されている分野も多いので、参考にしてみてください。
②外国人向け学習サイト
外国人向けの学習サイトは、特に日本語の勉強に役立ちます。読みやすい日本語で多くのサイトが作られているので、勉強に役立ててみてください。
【無料サイト】
外国人向けに作られた無料のサイト。簡単な日常会話から載っているので、日本語初心者にぴったりです。
【有料サイト】
各分野でしっかり勉強したい方には、有料のオンライン学習もあります。
介護分野で働きたい外国人向けのオンライン学習サイトです。模擬テストが繰り返し受けられるので、自信を持って試験の望むことができるようになります。合格後は就職サポートまでしてくれます。
宿泊業で働きたい外国人向けのオンライン学習サイトです。過去問を取り入れた問題が解けるので、試験の感覚がつかめますよ。無料登録でコンテンツサンプルが使えるので、気になる方は試してみてください。
③日本語力向上教材!「いろどり 生活の日本語」
日本語力を向上したいなら、「いろどり 生活の日本語」がおすすめです。日本に住んでいても、外国人だけで生活しているとなかなか日本語が上達しない場合も。そんな時に、日常生活ですぐに使えそうな日本語がすぐに学べるのが「いろどり 生活の日本語」です。
無料で教材がダウンロードできるだけでなく、日本語の他中国語・ベトナム語・ポルトガル語など、多言語に対応。音声もダウンロードできるので、自然な日本語が身に付きますよ。日本語能力テストの合格のためだけでなく、日本語を上手に使えるようになるために使ってみてください。
④各分野の管轄省庁が公表する過去問
各分野を管轄する省庁では、技能試験の過去門を提供している場合があります。各分野管轄省庁のホームページをチェックし、過去問を解いてみるのも良いでしょう。
過去問には、分野別に重要なポイントが凝縮されています。そのため、過去問を理解して繰り返し問いておくと、必要な情報が身についていきます。どんな問題が出されるのかと不安な方も、過去問を見ることでイメージがわくでしょう。
また、過去に出された問題は、同じ形式で出されることが多いのが特徴。次のどんな問題が出るのか予想しながら問いてみると面白いかもしれませんね。公表されている過去問は少ないですが、見つけたらぜひ勉強に役立ててください。
まとめ|計画的に勉強して合格を目指そう
特定技能を取得するための試験は、在留資格さえあれば幅広く受けられるようになりました。オンラインで申し込みができるので、申し込みの手続きも比較的簡単に行えます。ただ、試験勉強をしないとすぐに合格できるような試験ではありません。
特定技能制度が始まってから徐々に、特定技能試験に使える学習テキストなどは充実してきています。無料のオンラインテキストやサイトなどもたくさん。教材に恵まれているので、今後合格率も上がっていくことが予想されます。
それぞれの外国人に合った教材で計画的に勉強を進め、試験に合格して特定技能の取得を目指しましょう!