「特定技能外国人を雇用したいけど、何人まで受け入れができる?」と疑問に思っていませんか?人手不足で特定技能外国人を受け入れたいけれど、何人も受け入れることは可能なのか、受け入れ人数の制限があるのか気になっている方はいるでしょう。
そこで今回は、特定技能外国人の受け入れ人数について徹底的に解説!「分野ごとに受け入れ可能な人数の制限はある?」という疑問にもお答えします。受け入れ拡大が進む特定技能の受け入れ制限について知っておきたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
【必見】特定技能外国人の受け入れ人数は分野ごとに異なる
特定技能外国人の受け入れ人数は、基本的に制限がありません。ただ、中には受け入れ制限がある分野もあり、受け入れ可能人数は分野ごとに異なります。ここでは、各分野の受け入れ人数を押さえておきましょう。
- 建設分野
- 介護分野
- その他の分野
建設分野と介護分野は受け入れ人数に制限がありますが、その他の分野は制限がありません。分野ごとに受け入れ人数を知っておくことで、受け入れがスムーズに行えるようになるはず。それぞれの分野の受け入れ人数について、詳しく解説します。
⑴建設分野の受け入れ人数
建設分野の受け入れ人数は、受入れ機関の常勤職員の人数を超えてはいけません。特定技能の運用要領で、建設分野の基準では特定技能1号外国人の数が受入れ機関の常勤職員の総数を超えないことが定められています。常勤職員には、技能実習生や1号特定技能外国人は含まれません。たとえ受入れ機関で常に働いている常勤職員でも、技能実習生や1号特定技能外国人は除いてカウントしなければならないということです。
建設分野で受け入れ人数が決められている理由は、適正な雇用を図るはかるため。もし受入れ機関の労働者に対する受け入れ人数が多い場合は、十分な管理ができずに受け入れがずさんになってしまう可能性があります。建設分野は、工事により工事現場の変更が多く、季節などによっても報酬が変わる可能性が高い分野です。そのため、外国人に対して適切な就労管理ができる人数が受け入れ人数の上限として設けられています。
建設分野での受け入れを考えている企業主さんは、建設分野では受け入れ企業単位で特定技能外国人の受け入れ人数に上限があることを覚えておきましょう。
また、建設分野は失踪などのトラブルを防ぐため、受入れ機関には他の分野よりも厳しい受け入れ条件が設定されています。受入れ機関は、受け入れの際に以下のことを行わなければなりません。
- 外国人の報酬予定額などが記載された受入計画の作成
- 国土交通大臣の審査・認定・巡回訪問による計画実施状況の確認
- 受入れ企業と特定技能外国人の建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録
- 一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入
その他にも、以下のようにさまざまな雇用条件があります。
- 特定技能外国人を直接雇用する
- 同等の業務を行う日本人と同等以上の処遇を行う
- 特定技能外国人に安定的な賃金支払いと適正な昇給を与える
- 賃金などの契約上の重要事項の説明を十分理解できる言語で行う
- 受入れ企業が建設業法第3条の許可を得ている
- JACの策定する行動規範を遵守する
- 受け入れ後、国土交通大臣指定の講習または研修を受講させる
- 国または適正就労監理機関(FITS)による巡回指導を受け入れる
建設分野で特定技能外国人の受け入れには、多くの条件があるのが特徴です。そのため、ひとつひとつ確認するのは手間がかかってしまうことに。信頼できる登録支援機関に支援を委託することで、スムーズに受け入れの手続きが行えます。
⑵介護分野の受け入れ人数
介護分野の受け入れ人数は、日本人などの常勤職員の総数を超えてはいけません。介護分野の基本方針で、事業所単位で1号特定技能外国人の数が日本人などの常勤介護職員の総数を上限とすることが定められています。ここでいう日本人などとは、以下のような方です。
- 日本人介護職員
- EPA介護福祉士の外国人
- 在留資格「介護」の外国人
- 永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者などの身分で在留資格を所持している外国人
EPA介護福祉士とは、EPAの資格で来日してのちに介護福祉士の資格を取った外国人のことです。建設分野と同じく、常勤職員には技能実習生や1号特定技能外国人は含まれません。
介護分野の受け入れの上限は、事業所単位で決められています。事業所における特定技能外国人の数が半数以上になりそうな場合は要注意。介護分野での受け入れも、しっかりとした就労管理ができる人数に留めておく必要があります。
介護分野で受け入れを考えている事業主さんは、介護分野では事業所単位で受け入れ人数の制限があることを覚えておきましょう。
⑶その他(農業・製造業・飲食料品製造業など)の分野の受け入れ人数
建設と介護分野以外の以下の分野では、特定技能外国人の受け入れ人数は制限されていません。
- 農業
- 製造業
- 飲食料品製造業
- ビルクリーニング
- 造船・舶用工業
- 宿泊業
- 自動車整備業
- 漁業
- 外食業
- 航空
- 自動車運送業
- 鉄道
- 林業
- 木材産業
特定技能のほとんどの分野では、制限なく外国人の受け入れが可能です。
そもそも特定技能とは、日本企業の人手不足を補うためにつくられた制度。農業や製造業、飲食料品製造業などは、人手不足が特に深刻になっている分野ですが、雇用条件に達している外国人は、人数の制限なく特定技能外国人として受け入れることができます。多くの人手を補いたい受入れ企業としては、たくさんの特定技能外国人を受け入れられることは大きなメリットとなるでしょう。
また、特定技能は2号の受け入れも拡大している制度。特定技能2号を取得することができれば家族の帯同が可能になり、永住権の取得の可能性も見えてきます。特定技能1号が幅広く受け入れられることは、日本で働きたい特定技能外国人にとってもメリットが大きいものといえるでしょう。
企業ごとの受け入れ人数制限はないが、分野ごとに受け入れ目標が決まっている
特定技能外国人は、企業ごとの受け入れ人数制限はありませんが、分野ごとに受け入れの目標は「受入れ見込み数」として決められています。令和6年3月29日の閣議決定での最新の受入れの目標人数は、以下のとおりです。
- ビルクリーニング分野:37,000人
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野:173,300人
- 建設分野:80,000人
- 造船・舶用工業分野: 36,000人
- 自動車整備分野:10,000人
- 航空分野:4,400人
- 宿泊分野:23,000人
- 自動車運送業分野:24,500人
- 鉄道:3,800人
- 農業分野:78,000人
- 漁業分野:17,000人
- 飲食料品製造業分野:139,000人
- 外食業分野:53,000人
- 林業:1,000人
- 木材産業:5,000人
- 介護分野:135,000人
令和6年度に新たに「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加され、特定技能での雇用は拡大しています。同時に、コロナ渦を経て受け入れ目標人数も大幅にアップしてるのが現状です。
特定技能の始まった2019年時点での受け入れ目標人数も、比較しながら見てみましょう。
- ビルクリーニング分野:20,000人
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野:49,750人
- 建設分野:34,000人
- 造船・舶用工業分野:11,000人
- 自動車整備分野:6,500人
- 航空分野:1,300人
- 宿泊分野:11,200人
- 農業分野:36,500人
- 漁業分野:6,300人
- 飲食料品製造業分野:87,200人
- 外食業分野:30,500人
- 介護分野:50,900人
令和6年度(2024年)と目標人数の推移を見てみると、2024年には大幅に受け入れ人数がアップしているのが分かります。特定技能が設立されたのは2019年。その後5年間の受け入れ人数の目標総数は34万5,150人でした。そして令和6年度に設定された受け入れ目標人数の総数は、なんと82万人!政府は、80万人以上の特定技能外国人を受け入れることを目標としています。
令和5年度12月でおよそ5年が経過しますが、令和5年度12月時点での特定技能外国人数は208,462名。目標は下回りますが、目標数の半分以上の受け入れが実現しています。今回の受け入れ目標人数は82万人なので、このままいけば40万人以上の受け入れが行われることが予想できますね。
【技能実習生との比較】受け入れ人数で見る特定技能外国人の雇用のしやすさ
特定技能とは違い、技能実習の場合は職種に関わらず受け入れ人数に制限があります。受け入れ可能な人数は、受入れ企業の常勤職員の人数によって決まります。
- 常勤の職員の総数が301人以上:常勤職員総数の20分の1
- 常勤の職員の総数が201~300人:15人
- 常勤の職員の総数が101~200人:10人
- 常勤の職員の総数が51~100人:6人
- 常勤の職員の総数が41~50人:5人
- 常勤の職員の総数が31~40人:4人
- 常勤の職員の総数が30人以下:3人
なお、常勤の職員には技能実習生は含まれません。特定技能の建設や介護分野が常勤職員の半数を超えてはならないのに対し、技能実習の場合は常勤職員総数の10~20分の1程度の人数しか受け入れることができません。
技能実習生の受け入れ可能人数が少ない大きな理由は、技能実習生は育成する必要があるから。特定技能は日本の企業で即戦力となる人材を雇用する制度ですが、技能実習は日本の技能を海外に伝えるために実習する制度です。そのため、特定技能よりもしっかりと教育する必要があり、受入れ企業が無理なく管理できる人数にとどめておくことが大切です。
そのため、特定技能外国人の方が受け入れ人数の制限がゆるく、技能実習生よりも雇用しやすい実態があります。受け入れ人数の上限により技能実習生の受け入れは難しくても、特定技能外国人なら受け入れが可能な企業もあるはず。即戦力となる特定技能外国人の雇用により、有能な外国人に出会える可能性も広がります。
まとめ|受け入れやすい特定技能外国人を雇用しよう!
特定技能外国人は、建設分野と介護分野以外では受け入れ人数の制限がなく、受け入れがしやすいのが特徴です。制限のある建設分野と介護分野でも、常勤職員の数を超えなければ雇用が可能。すでに一定の日本語能力と知識やスキルを持った特定技能外国人は、企業の大きなサポートとなるでしょう。
とはいえ、特定技能外国人を初めて受け入れる場合や複数人受け入れる場合は、どのような手続きを行ったら良いのか迷う方も多いはず。そんなときには登録支援機関のKMTにお任せください。KMTは特定技能外国人の受け入れ実績が高く、複数名の受け入れサポートも可能。特定技能外国人の受け入れを精一杯サポートしますので、ぜひ一度ご相談ください。