企業の即戦力となる特定技能外国人。なかなか採用が難しい分野でも雇用が進められる特定技能外国人は、企業にとってうれしい存在です。でも、ぜひ受け入れたいとは思っても何かデメリットがあるのか心配になることもありますね。
そこでこの記事では、特定技能外国人を受け入れる上での問題点について徹底的に解説。特定技能外国人のメリットだけでなくデメリットも知ったうえで受入れを検討することで、納得のいく雇用ができるようになるでしょう。デメリットやリスクについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
安く雇える訳ではない?特定技能創設の背景を確認
特定技能は、2019年に日本の人手不足を補うために設立された制度です。日本人だけでは人材の確保が難しい特定の分野で即戦力となる外国人を雇用するもので、雇用される外国人には「特定技能」という在留資格が与えられます。特定技能での雇用の目的は、あくまで日本の人手不足を補うため。日本の技術や技能を学び自国に持ち帰る「技能実習」とは違い日本で就労するために来日するので、日本人と同じような条件で就労することが定められています。
そのため、「特定技能は外国人だから安く雇えるんじゃ?」と考えるのは大間違い。特定技能外国人は、同様の仕事をする日本人と同様の賃金で雇うことになります。なお、特定技能として受入れが可能な分野は、徐々に拡大しています。特定技能で受入れのできる分野は、以下の16分野です。
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業(旧素形材・産業機械・電子情報関連産業)
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 自動車運送業
- 鉄道
- 林業
- 木材産業
自分の企業がこれらの分野に当てはまる場合は、特定技能1号として特定技能外国人の受入れが可能。特に人手不足が懸念される企業の方は、特定技能外国人の受入れを検討してみましょう。
外国人の権利を守るため?受入れ企業側にとってのデメリットやリスクを解説!
特定技能には外国人を守るためにさまざまな条件が定められていますが、受入れ企業側にはそれがデメリットやリスクになることも。受入れ企業にとってデメリットやリスクとなる点は、以下の3つです。
- 転職が可能!
- 1号では雇用期間に制限あり!
- 日本人と同様の報酬が必要!
外国人の権利を守るとはいえ、受入れ企業にとって問題点となる場合もあるので注意が必要。それぞれのデメリットやリスクについて詳しく解説します。
⑴転職の可能性がある
特定技能外国人には、同業種内での転職が認められています。そのため、特定技能外国人はより良い労働環境を求めて別の企業に転職してしまう可能性があります。転職を防ぐためにも、受入れ企業は特定技能外国人とのコミュニケーションを密に取り、労働環境が常に魅力的であるように心がけることが大切です。特定技能外国人のために労働環境を整えておくことで、他の日本人労働者にも働きやすい環境が整い、全ての労働者の継続的な雇用が見込めるでしょう。
賃金や人間関係も、良い労働環境には重要なポイント。いくらマニュアルを完備して表面的に働きやすい環境を整えたとしても、精神的に安定していなければ企業から離れていってしまいます。転職を防ぐためにも、受入れ企業は特定技能外国人が常に満足して働いているか確認して環境を整えておくことが大切です。
⑵特定技能1号では雇用期間に制限がある
特定技能には、1号と2号があります。特定技能1号は雇用期間に制限があり、雇用期間は通算で最大5年間と決められています。ほとんどの場合は特定技能1号からはじまるため、特定技能1号での雇用は最大でも5年間の制限があるということ。5年間の雇用を見据えて採用をしなければなりません。特定技能1号の外国人を受け入れても、5年後には帰国させることになります。
一方、特定技能2号には雇用期間に制限がありません。更新を続けることで、永続的な雇用が可能です。また、特定技能1号では家族の帯同はできませんが、2号を取得すると家族(配偶者と子)の帯同が可能。そのまま在留を続け、永住権を取得することも可能になります。
特定技能2号は、より熟練したスキルや経験を持つ外国人のための資格。取得には特定の試験や経験などが必要ですが、取得すると1号より良い条件で労働ができるようになる魅力的な在留資格です。特定技能外国人を受入れるなら、しっかり育成して特定技能2号まで取得させるのがおすすめ。2号を取得させることで、長く一緒に働くことができます。
⑶日本人と同等の報酬が必要
特定技能は日本の労働力不足解消のためにつくられた制度なので、日本人と同等の報酬で外国人を雇用する必要があります。特定技能外国人には、同じ企業で働く同じような仕事をする同等の経験のある日本人と同じかそれ以上の報酬を支払わなければなりません。外国人だからといって、安く雇えるわけではないのです。報酬が安いからという理由で特定技能外国人の受入れを考えているなら、それは間違い。特定技能外国人には、日本人と同様の扱いで就労させる必要があります。
なお、特定技能外国人との契約時には、理解不足にならないためにもきちんと外国人の分かる言語で報酬の説明をしなければなりません。納得できるまで説明することで、理解不足によるトラブルが防げます。賃金を決めるときには、日本人労働者と同等かそれ以上の報酬かつ皆勤手当てなどの賃金とは別の報酬も同等に設定する必要があります。日本人より低い報酬にならないように、よく確認してから報酬を決定しましょう。
デメリットだけじゃない?特定技能のメリットもご紹介!
特定技能の受入れには課題もありますが、受け入れるメリットもたくさんあります。特定技能のメリットは、大きく分けて3つあります。
- 即戦力の人材を採用できる
- 日本の生活に慣れている方が多い
- 2号への移行で永年的に雇用できる
特定技能の受入れを迷っている方も、受入れに積極的になるようなメリットが見つかるはず。安く雇用できるわけではなくても、受け入れることで受け入れ側にも多くのメリットがあります。特定技能のそれぞれのメリットについて、詳しく解説します。
⑴即戦力の人材を採用できる
特定技能の一番のメリットは、即戦力となる人材を採用できることです。特定技能の資格を取得するためには、特定技能1号評価試験と日本語試験に合格することが必要。ある程度の知識やスキルと日本語能力がある外国人を採用できるため、必要な技能や日本語を一から教える手間が省けます。
特に、企業の求人を出しているのになかなか人が集まらなかったり、人手不足のために現在働いている人材を酷使していたりする場合は、特定技能外国人の受入れを進めるのがおすすめ。特定技能外国人を受け入れることでうまくいくことも多いでしょう。
また、特定技能外国人の平均年齢は若いので、人手不足の心配される企業で体力も勢いもある若い方に働いてもらうことができます。高齢化の進む日本では雇用できる人材が足りなくても、外国人を受入れることで長く働いてもらえる若手が見つかる可能性も高いです。
⑵日本の生活に慣れている方が多い
外国人の受入れを行うときに心配になることのひとつが、文化の違いです。日本で生活するのに慣れていない外国人と一緒に働けるのかどうか不安になってしまうこともあるでしょう。しかし、特定技能外国人は日本の生活や日本人とのコミュニケーションに慣れている方が多いです。
特定技能をいきなり取得することも法的には可能ですが、実際は在留資格「技能実習」から「特定技能」に移行する方がほとんど。技能実習の時期にすでに日本で生活しているため、日本の生活に慣れている方がほとんどです。また、日本に興味があって在留している方も多いです。そのため、日本の文化についてあれこれ教育する必要がありません。また、受入れ時に頼りになる登録支援機関は、生活のサポートもしてくれます。
日本語能力もある程度あることが取得条件になっているため、会話程度の日本語は理解できます。仕事で問題なく行動できるレベルには達していないことはありますが、日本の生活についてのサポートはそれほど必要ないと考えて良いでしょう。
⑶特定技能2号へ移行できれば、永年的に雇用できる
特定技能2号に移行できると、永年的に雇用が可能になることも大きなメリットのひとつ。2024年7月現在で特定技能に受入れ可能な16分野のうち、追加された4分野と「介護」を除く11分野で、特定技能2号への移行が可能です。特定技能2号になると、家族の帯同が可能になり雇用期間の制限がなくなるため、永住権獲得への可能性も広がります。
永年的に雇用できることは、長く日本で暮らしたい特定技能外国人にとってはもちろん、長期的に労働者を雇用したい受入れ企業としてもうれしいポイント!特定技能として外国人の受入れを考えているなら、1号だけでなく2号の取得も視野に入れて受入れを進めると良いでしょう。
まとめ|特定技能にはメリットもたくさんある!
デメリットが何なのか心配な特定技能ですが、特定技能外国人を受入れることでのメリットもたくさんあります。特定技能の受入れで、即戦力となる日本の生活に慣れた人材を確保できるうえ、特定技能2号への移行ができれば永年的な雇用も可能に!長期的に活躍できる人材を探しているなら、積極的に受入れを進めましょう。
とはいえ、特定技能の受入れにはやるべきことが多く、制度が難しいため手続きが大変です。そんなときには登録支援機関にサポートをゆだねてみるのがおすすめです。特定技能外国人の受入れ実績の高い登録支援機関KMTなら、適正な受入れを徹底的にサポートします。特定技能のメリットだけでなく、知っておきたいデメリットや注意点まで説明が可能。技能実習との違いも詳しく説明いたします。特定技能制度の知識の豊富なKMTに、ぜひご相談ください。