タイ人を特定技能で受け入れたいと思ったときに、どのような手続きが必要なのか疑問に思う方もいるでしょう。日本での特定技能の受け入れといっても、国によってルールや手続きの方法は様々。円滑な受け入れをするためには、タイの制度を知っておくことも大切です。

今記事は、タイ人を特定技能で受け入れるための流れや必要な手続きについて徹底的に解説します。必要な手続きを頭に入れ、即戦力となるタイ人の受け入れをスムーズに行いましょう。

【特定技能1号】タイ人受入れのステップや条件を解説!

【特定技能1号】タイ人受入れのステップや条件を解説!

タイ人を特定技能1号として受け入れるために、送出機関は使っても使わなくても構いません。ただ、送出機関を使うか使わないかにより、雇用契約書の提出のタイミングが異なります。

また、日本国内にいるタイ国籍の外国人を特定技能として雇用することもできます。しかし、この場合も雇用契約書提出時期などの手続きのステップが違うことを覚えておきましょう。

特定技能の受け入れに送出機関を使わなくてはならないカンボジアと違い、タイは送出機関を必ずしも使う必要がありません。送出機関を使わない場合の手続きは、直接雇用ができるので手続きがシンプルです。その点でタイ人は、特定技能として比較的受け入れやすいのではないでしょうか。

受入れ方法は3パータン!それぞれご紹介

受入れ方法は3パータン!それぞれご紹介

特定技能のタイ人の受け入れパターンは大きく分けて3通りあります。

  1. 送り出し機関を使わない場合
  2. 送り出し機関を使う場合
  3. 日本にいるタイ人を採用する場合

タイからの特定技能の外国人は、送り出し機関を通さずにも雇用できるのが特徴。それぞれの受け入れパターンによって、手続きの方法が異なります。3つのパターンについて、それぞれ詳しく解説します。

手続きのステップを知ることで、実際に受け入れるときに何をすれば良いのか分からず慌ててしまうことがなくなりますよ。

【パターン1】送り出し機関を使わずに認定で呼ぶ場合

ここで言う認定とは、国外からの呼び寄せということです。送出機関を使わずに認定でタイ人を呼ぶ場合は、まずはFacebookやタイの求人サイトなどで人材を募集することから始めます。雇用したい方が見つかったら、面接を行い特定技能に係る雇用契約を直接かわします。

採用を決めたら、地方出入国在留管理官署で特定技能に係る在留資格認定証明書を申請し、コピーをとって原本は採用決定者本人に渡しましょう。そして、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書とコピーした在留資格認定証明書を提出します。

採用決定者は、在留資格認定証明書を在タイ日本国公館に提出し、特定技能に係るビザを発行してもらいます。さらに、タイ労働省に書類を提出して出国の許可をもらい、日本に出発します。到着後に上陸審査に通過することで、特定技能が認められます。

【パターン2】送り出し機関を使って認定で呼ぶ場合

送出機関を使って認定で呼ぶ場合は、まずは送出機関を探すことから始めます。タイの送出機関のリストは、出入国在留管理庁のホームページからチェックすることができます。送出機関以外には、タイ王国労働省雇用局を通しての採用も可能です。

https://www.moj.go.jp/isa/content/930006019.pdf

そして雇用したい方が見つかったら、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書のひな形等を提出します。雇用契約書のひな型を、送出機関からのあっせんを受ける前に提出しなくてはならないのが、パターン1との大きな違いです。

その後の手続きは、パターン1と同じです。送出機関を使って認定としてタイ人を呼ぶ場合は、雇用契約書のひな型をあらかじめ提出しておくことを、覚えておきましょう。

【パターン3】日本にいるタイ人を採用する場合

日本にいるタイ人を採用する場合は、ハローワークや求人サイトなどで人材を募集します。留学生や「技能実習2号」や「技能実習3号」といった在留資格を持ったタイ人などを、特定技能として採用することができます。

送出機関を使わない場合と同じく、受け入れ企業は直接タイ人と雇用契約書を結べるのが特徴です。

まずは、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書のひな型を送ります。そして採用が決まったら、受け入れ期間が地方出入国在留管理官署で特定技能に係る在留資格変更を申請します。「技能実習2号」や「技能実習3号」からの変更の場合は雇用契約書も同時に提出しましょう。

次に、地方出入国在留管理官署で特定技能に係る在留資格認定証明書を交付申請し、認定されたら特定技能が認められます。

タイ人受け入れ時に気を付けるべき注意点とは?

タイ人受け入れ時に気を付けるべき注意点とは?

タイの受け入れに関する制度は、それほど厳しいものではなく送出機関の使用も任意です。タイ人は比較的特定技能で受け入れやすいですが、注意すべき点もあります。

外国での求人が難しいと感じると、現地に出向いてしまった方が手っ取り早いと感じることもあるでしょう。しかし、日本の企業がタイ現地へ訪れて求人をすることは、タイの法令により禁止されています。タイ人を受け入れたい場合は、オンライン求人やあっせん会社などを使い、現地に出向かずに求人する方法を考えましょう。

また、タイ人が特定技能として受け入れられた場合は、いずれのパターンでの受け入れでも採用者本人が駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に15日以内に報告する必要があります。来日報告書または、入社報告書の提出を忘れないようにしましょう。

まとめ|流れを理解し、受け入れを行いましょう

タイ人を特定技能として受け入れるのには3つのパターンがあり、それぞれ必要な手続きが違っています。基本的な手続き方法は同じですが雇用契約書を出すタイミングが違うので、それぞれの流れを理解することが大切です。

また、タイ人受け入れには現地での求人はNGだということも覚えておきましょう。タイ人の受け入れ後の流れを知ると、受け入れへのハードルが下がるはず。必要な手続きを理解し、タイ人の受け入れをスムーズに行って下さいね。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。