「カンボジア人を特定技能で受け入れたい!でもどうしたらいいの?」と悩んでいる方はいませんか?特定技能の外国人を受け入れる流れは、国によって違うのが特徴。同じだと思って行ってしまうと、受け入れが認められなくなってしまうことにもなりかねません。

今記事では、カンボジア人の特定技能での受け入れの流れや必要な手続きを徹底解説。カンボジア特有の受け入れステップを把握し、適正にカンボジア人を採用しましょう。

【特定技能1号】カンボジア人受入れのステップや条件を解説!

【特定技能1号】カンボジア人受入れのステップや条件を解説!

働き盛りの若年層が多いカンボジア。日本で働きたいカンボジア人を受け入れるためには、受け入れのステップや条件を確認しておく必要があります。受け入れに必要なステップは、大きく分けて以下の3つです。

  1. 雇用契約の締結
  2. カンボジア労働省への申請(現地)
  3. 入管への申請

カンボジア人の受け入れには、日本での手続きだけでなくカンボジア現地での手続きも必要です。それぞれのステップについて、詳しく解説します。

ステップ1|雇用契約の締結

カンボジアでは、カンボジアから認定を受けた送出機関のみが特定技能でカンボジア人を日本に送り出すことができます。また、国内の規定に沿った手続きを行ったカンボジア人のみが特定技能外国人候補になることが認められるのが特徴です。

カンボジアの認定送出機関のリストは、法務省のホームページからチェックできます。

https://www.moj.go.jp/isa/content/930004573.pdf

カンボジアの制度に基づき、雇用契約の締結や人材の紹介は認定送出機関を通して行います。ただ、日本にいるカンボジア人を採用する場合は、送出機関を通さずに直接雇用することができます。

このように、外国在住の外国人を特定技能として受け入れるためには、日本側の制度だけでなく現地側の制度にもとづいて手続きを行う必要があることを覚えておきましょう。

ステップ2|カンボジア労働省への申請(現地)

雇用契約が締結されたら、今度はカンボジア労働職業訓練省(MoLVT)へ登録証明書の申請をする必要があります。特定技能の外国人候補の方が直接行うのではなく、認定送出機関を通して申請を行います。

MoLVTは、申請を受けて内容に不備がないか確認し、手続きが無事完了したら登録証明書を発行します。発行までの期間は、申請から2~3営業日。外国人の払う手数料は発生しませんが、法律により現地の送出機関がMoLVTに対して事務手数料を求めるように定められています。

登録証明書は、カンボジア国籍の方に送られます。この登録証明書は、日本での手続きに必要な書類です。受け入れ機関の方は特定技能の外国人候補の方に送付してもらうよう頼んでおきましょう。

またカンボジア労働職業訓練省(MoLVT)へ登録証明書の申請は、国内にいるカンボジア人が特定技能へ変更申請をする際にも必要となります。

ステップ3|入管への申請

登録証明書が送られてきたら、受け入れ機関は日本の入管への申請を行います。行うべき手続きは、以下のとおりです。

  • 受け入れ機関が地方出入国在留管理官署に「特定技能に係る在留資格認定証明書」の交付申請を行う(上記の登録証明書を添付)
  • カンボジア国籍の特定技能外国人候補者に「特定技能に係る在留資格認定証明書」を送付する
  • カンボジア国籍の特定技能外国人候補者が認定証明書を在カンボジア日本国大使館に提示し、「特定技能に係る査証」発給申請を行う
  • カンボジア国籍の特定技能の外国人候補者が、カンボジアで出国前オリエンテーションを受講する

そしてカンボジア国籍の特定技能の外国人候補者が日本で上陸検査をして上陸が認められたら、晴れて特定技能の資格が与えられます。

二国間協定とは?カンボジアは送り出しが必須。

二国間協定とは?カンボジアは送り出しが必須。

日本とカンボジアは、カンボジアから日本へのスムーズな送り出しで特定技能のカンボジア人の保護をすると同時に両国の利益を強化するために、二国間協定を結んでいます。カンボジアからはカンボジア国内で認定された送出機関を通しての送り出しが必須。

送出機関についても、理解しておきましょう。

  • 送り出し機関がおこなうサポート内容
  • 送り出し機関への支払い費用

サポート内容や支払う費用はどのようなものなのでしょうか?それぞれについて、詳しく解説します。

送り出し機関がおこなうサポート内容とは?

送出機関の主なサポート内容は、以下の3つです。

  • 人材の募集
  • 送り出すための準備
  • 人材の紹介

送出機関は、まず日本で働きたいカンボジア人の募集を行います。そして希望するカンボジア人に対して、日本に送り出すための準備を行います。日本語研修、日本語テスト・技能試験合格のための指導が主な準備の内容です。

また、日本で暮らすにあたって必要になる日本社会のマナーや文化、道徳的なルールなども教えていきます。そして教育した人材を、日本の受け入れ企業へと紹介するのも送出機関の役割です。

送出機関を通して送られてくる特定技能の外国人候補は、徹底した教育をしたカンボジア人なので、信頼感を持って受け入れることができます。

送り出し機関への支払い費用はどのくらい?

送り出し機関への支払い費用は、各機関により異なります。カンボジアの送出機関への支払い費用の目安は約2,500ドル、日本円に換算すると約27万円です。特定技能外国人本人が教育費や企業紹介費として、支払うことが多いです。

企業によっては、送出機関への支払いを負担するケースもあります。現地での教育や紹介費などの名目で、送出機関への支払いが発生するかもしれないことも頭に入れておきましょう。

まとめ|二国間協定を理解し採用を行いましょう

まとめ|二国間協定を理解し採用を行いましょう

カンボジアと日本では、カンボジア人の日本での受け入れを円滑に行うために二国間協定が結ばれています。カンボジアの特定技能受け入れの特徴は、送出機関を通して手続きを行う必要があること。これは、行方不明などのトラブルの予防にもつがる大切な協定でもあります。

カンボジア人の採用のためには、特定技能における二国間協定の内容をしっかり理解することが大切。手続きのステップや費用などのポイントを押さえ、積極的にカンボジア人の採用を行いましょう。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。