試験

「特定技能の技能試験に必要な手続きは?」「やっておくべき問題集ってある?」と、特定技能外国人を迎える企業の方は、技能試験とはどんなものでどのように技能試験を受けさせたらいいのか戸惑っているのではないでしょうか?

そこで今記事では、特定技能の技能試験について徹底的に解説します。実施スケジュールや学習教材などもご紹介するので、特定技能外国人がこれから技能試験を受けるなら、ぜひチェックしてみてください。

在留資格「特定技能」を取得するための試験は2つ!

外国人に人気の在留資格「特定技能」ですが、取得するには2つの試験を受ける必要があります。受けるべき試験は以下の2種です。

  1. 各分野の技能試験
  2. 全分野共通日本語試験

どちらも日本で即戦力として働くために必要な試験。受けて合格しなければ、特定技能取得への道は遠ざかってしまいます。特に技能試験は分野ごとに試験内容が異なるため、早めの準備が必要です。

それぞれの試験の概要について、詳しく解説します。

①全12種!必要な技能を測定する各分野の技能試験

特定技能の技能試験は、国内で即戦力として働くために必要な専門的な知識を問う試験です。試験は分野ごとに異なり、ペーパーテストやコンピューター・ベースド・テスティング(CBT方式)・実技試験により行われます。日本語試験を含めて試験合格後に雇用主との契約になるので、まずは合格したいものです。

受験資格は令和2年4月1日から拡大。以前は「中長期在留者と過去に中長期在留していた方のみ」が受験可能でしたが、「在留資格を持っている方なら誰でも」受験可能になりました。

もちろん不法入国者や失踪の経験者などは受験できませんが、短期滞在ビザで入国した方でも試験を受けられるようになったので、今後ますます受験者は増えていくことでしょう。

②12分野共通!日本語能力を評価する日本語試験

在留資格「特定技能」取得のために、技能試験の他に受けなければならないのが日本語試験です。日本語試験は、日本で仕事や生活をするうえで問題のない日本語能力があることを認めるためのもの。日本語を母国語としない方なら誰でも受けることができます。

日本語試験は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)と日本語能力試験(JLPT)のどちらか一方を合格することで、日本語試験をパスしたとみなされます。JFT-BasicではA2以上、JLPTではN4以上の日本語力が必要。さらに介護職のみ、「介護日本語評価試験」にも追加で合格しなければなりません。

JFT-BasicとJLPTの合格率は約40~50%程度。日本語に慣れていない外国人は、早めに勉強を始めておくと良いでしょう。

技能実習2号修了者は2つの試験が免除!

「特定技能」を取得するために必要な技能試験と日本語試験ですが、必ずしも受けなければならないわけではありません。

技能実習2号を良好に修了した実習生は、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。技能実習2号を良好に修了している外国人の方は、専門的な知識と職場や日常生活で必要となる日本語能力を習得しているものとみなされるからです。

試験が免除になるため技能実習から特定技能を取得する外国人も多く、まずは技能実習生の雇用を検討する企業も少なくありません。ただ、技能試験が免除されるのは、技能実習生の時と同じ職種で特定技能を取得する場合のみ。別分野で特定技能を取得したいなら、取得分野での技能試験を受ける必要があります。

技能試験とは?2022年のスケジュールもチェック

それでは、技能試験について知っておくべき内容を確認しておきましょう。ここでご紹介するのでは、以下の5つのポイントです。

  1. 受験資格
  2. スケジュール
  3. 開催場所
  4. 合格率
  5. 申し込み方法

技能試験受験のためには、スケジュールなどの最新情報をこまめにチェックしておくことが大切です。その他にも、受験資格や開催場所・申し込み方法など知っておきたい技能試験の5つのポイントについて、それぞれ詳しく解説します。

【受験資格】令和2年4月1日から拡大!

国内で受ける技能試験の受験資格は、令和2年4月1日から拡大されました。

<令和2年3月31日までの国内試験の受験資格>
日本国内での試験の受験資格が認められない方
(1)中長期在留者でなく、かつ、過去に日本に中長期在留者として在留した経験がない方
(2)退学・除籍留学生
(3)失踪した技能実習生
(4)「特定活動(難民申請)」の在留資格を有する方
(5)技能実習等、当該活動を実施するに当たっての計画の作成が求められる在留資格で現に在留中の方

引用元:https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri01_00135.html

以前は国内試験は、中長期在留者や中長期在留者としての経験がある方のみ受験が可能でしたが、在留資格のある方なら誰でも受験可能になりました。ただ、不法滞在の方など在留資格のない方は、引き続き受験は不可能。また、試験に合格したとしても特定技能が取得できない場合があります。

例えば、やむを得ない理由であっても失踪経験のある外国人などは、受験ができたとしても特定技能が取得できない可能性が高いです。雇用側の企業は、受け入れる外国人の在留資格や過去の滞在歴を確認しておくと良いでしょう。

【スケジュール】各業種によって異なる!

技能試験のスケジュールは、各分野の各業種によって異なります。それぞれの分野のホームページをチェックし、日程を確認しましょう。コロナウイルスの感染拡大を受けて試験情報が変わることもあるので、試験前には最新情報を随時チェックするのがおすすめです。

造船・舶用工業は、リクエストによる出張形式で行われます。事前に試験スケジュールを確認し、申し込みや勉強をしましょう。

【開催場所】日本と海外の両方で実施!

特定技能の技能試験というと、国内で行うイメージがあるかもしれません。しかし、技能試験は日本と海外の両方で実施されます。日本に来ていない外国人が海外から受験することもできるので、外国人が受験するために日本に来てもらう必要はありません。

主に日本と二国間協定を結んでいる以下のような国で、特定技能の技能試験が行われています。

  • インドネシア
  • フィリピン
  • カンボジア
  • モンゴル
  • ネパール
  • タイ
  • スリランカ
  • インド
  • ウズベキスタン

コロナウイルスの感染拡大にともない技能試験はしばらく開催されていませんでしたが、2022年には多くの国々で試験の予定が立てられています。海外から外国人を呼び寄せる場合は、国外受験も検討してみましょう。

国内では、海外より多くの開催地や日程で技能試験が開催される予定です。主要都市で平日はほぼ毎日試験が開催される分野も。日本にいる外国人を特定技能として雇いたい方は、いつでも受験できる体制が整っていますよ。

【合格率】技能試験の合格率は約60%!

特定技能の技能試験というと難しいものというイメージがありますが、技能試験の合格率は平均して約60%程度。分野によって大きくばらつきがありますが、半数以上の方が合格していることを考えると合格できない試験ではないと考えられます。

技能試験は、ほとんどがコンピューター・ベースド・テスティング(CBT方式)で行われるのが特徴。もちろん実技試験のある分野もありますが、合格しやすい理由として案外実技試験が少ないことが挙げられます。2022年以降はたくさんの試験が実施される予定なので、しっかり勉強して合格を目指しましょう。

【申し込み方法】早めの予約がおすすめ!

技能試験を受けることが決まったら、早めに予約するのがおすすめです。各分野のホームページから余裕を持って申し込みを済ませ、試験日までゆったりと勉強ができるようにしましょう。受験の申し込みには、特定技能総合支援サイトが便利です。

「特定技能総合支援サイト」はこちら

分野ごとに試験案内や申し込みボタンが設置されているので、分かりやすいですよ。基本的には、以下の方法で申し込みをします。

  1. 専用サイトに登録する
  2. 試験日程や受験者情報などを入力する
  3. 受験料を支払う
  4. 予約完了!

支払方法は、クレジットカードやバウチャーの購入など。WEBで申し込みが完結するものがほとんどなので、手続きは簡単です。日程を確認したら早めに予約して学習を始めましょう。

合格するために!勉強方法をご紹介!

最新の試験情報をチェックして申し込みを済ませたら、次は勉強に取り掛かりましょう。ここでは、技能試験に向けた3つの勉強方法をご紹介します。

  1. オンライン学習テキスト
  2. Amazonで買える書籍版問題集
  3. 支援サイトの提供する過去問

しっかり勉強しておけば、不合格になる確率が下がるはず。一発合格のために、計画的に学習を進めましょう。それぞれの勉強方法について、詳しく解説します。

①各業種が公開!WEBで見れる学習用テキスト!

全ての分野ではありませんが、多くの業種でWEBで閲覧できる学習テキストを無料で公開しています。公式のテキストがある分野は、すみずみまで目を通しておくことでぐんと合格に近づきますよ。

学習用テキストは、問題内容はもちろん出題形式や試験の難しさが分かるので初めて技能試験を受ける方におすすめ。無料でダウンロードできるので費用を抑えて学習が進められますね。

②Amazonでも購入可能!書籍版問題集

WEBで閲覧できる学習用テキストの他、Amazonなどで販売している書籍版の問題集を購入して勉強する方法もあります。書籍版は、紙での勉強に慣れている方におすすめ。公式の学習用テキストがオンラインで公開されていない分野で特定技能を取りたい場合にも役立ちます。

製造3分野は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」として1つの分野に統合されました。素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業では学習用テキストが公開されていませんが、書籍版なら「機械加工」や「仕上げ」など、専門的な業種の問題集があるので活用してみると勉強が進めやすいでしょう。

オンラインテキストでは物足りない方は、書籍版問題集の購入を検討してみましょう。

③無料で閲覧できる!支援サイトの過去問!

特定技能の技能試験に合格するためにもう1つご紹介したいのが、支援サイトの提供する過去問です。特定技能総合支援サイトは、全ての漢字にふりがなをふって外国人でも読みやすくなっている親切なサイト。サイト内では、いくつかの分野の過去問を無料で公開しています。

支援サイトの過去問はこちら

実際に出題された過去問を見て勉強することで、どんな問題が出されるのかイメージしやすくなるでしょう。全く同じ内容の問題が出題されるわけではありませんが、過去問に目を通しておくことで本番で問題が解きやすくなるはず。たくさんの問題を解きながら自分の弱点や強みを見つけ、集中的に学習することが大切です。

試験会場で焦らないように、自分に合った学習方法で勉強をしておきましょう。

まとめ|早めの申し込みで余裕を持った受験を!

技能試験は、技能実習2号修了生を除いて「特定技能」を取得するために受けて合格しなければならないテストです。2022年は、国内外で多くの技能試験が開催予定。試験に合格しなければ雇用契約はできないので、早めに申し込みを済ませておくと良いでしょう。

早めに申し込んでおけば、その後余裕を持って学習ができますね。もし外国人に試験を受けさせる計画作りが面倒だと感じる場合は、登録支援機関がサポートすることもできます。技能試験の取得から特定技能の取得までまるごとサポートができますので、まずは登録支援機関のKMTにご相談ください。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。