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製造業の特定技能外国人を受け入れようと思ったら、「産業分類に当てはまらないといけない」と聞いて、困惑していませんか?そもそも産業分類とは何か、当てはまるかどう判断したらいいのかと分からないことだらけで、受け入れを諦めたくなってしまうことも。

そこで今記事では、特定技能の「産業分類」について、詳しく解説。素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の受け入れに必要な協議会や協議会への加入方法についてもご紹介します。読むと製造業の受け入れがスムーズになりますよ。

在留資格「特定技能」において協議会が果たす役割とは?

「特定技能」で外国人を受け入れるときに、分野に関わらず必ず入らなければならないのが「協議会」です。協議会には、以下のような役割があります。

  • 特定技能外国人を保護する
  • 特定技能制度を正しく運営する
  • 各分野の人手不足を解消する

協議会は、特定技能外国人を正しく受け入れるために必要な機関。協議会へ加入していないことが判明した場合は、在留資格「特定技能」の取り消しにもなりかねません。受け入れの際に受入れ機関の入会が義務付けられているので、受け入れ側は加入方法などの手続きを確認しておく必要があります。

協議会への加入時期や入会費用などは、各分野ごとに異なります。受け入れる側の機関は十分チェックして、不備がないことを確認しておくことが大切です。

製造分野の受け入れについて|制度や概要を解説!

製造分野で受け入れを行う企業の方は、製造分野の受け入れ制度や概要をチェックしておく必要があります。ここでは、制度や概要について2つのポイントに分けて解説します。

  1. 製造3分野が統合!
  2. 受け入れの注意点

製造分野の受け入れは、他の分野と少し違う点があります。受け入れ体制を整えるためにも、よくチェックしておきましょう。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

製造3分野が統合!素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業に!

製造3分野は、令和4年4月26日から「素形材・産業機械・電機電子情報関連製造業」という1つの分野に統合されました。以前は以下の3つの分野に分かれており、3つまとめて「製造3分野」と呼ばれていました。

  • 素形材産業
  • 産業機械製造業
  • 電気・電子情報関連製造業

以前は3つの分野だったものが1つに統合されたのは、「素形材産業」分野での特定技能1号の受け入れが見込み数を超えてしまったから。受け入れの少なかった「産業機械製造業」と「電気・電子情報関連製造業」と統合することで、新分野での受け入れが可能になりました。

制度上の問題とはいえ、名前が変わってしまったので戸惑う企業の方も多いでしょう。しかし、従事する業務は以前と変わらないのでご安心ください。

製造分野受け入れの注意点|資格取得の条件をチェック!

製造分野で特定技能を取得するには、2つのルートがあります。

  1. 技能試験と日本語能力試験に合格
  2. 技能実習2号を良好に修了

技能実習2号を良好に修了すると、技能試験と日本語試験が免除になります。ただ、技能実習生の時と従事する職種が同じでなければなりません。

試験に合格する方も増えていますが、技能実習生からの移行ルートがメインの取得ルート。製造3分野でも令和4年3月末のデータでは、試験の合格ルートの方は全体の1%未満でした。

また、受け入れ時には以下のことにも気を付けなければなりません。

  • 協議会への加入は必須
  • 対象の日本標準産業分類の番号の細分類に当てはまるかチェック

産業分類の対象職種でないと特定技能で受け入れが認められないので、注意しましょう。

特定技能の「産業分類」とは?経済産業省所轄の製造業が対象!

特定技能「製造業」の受け入れは、「産業分類」の対象職種のみが認められます。産業分類があるのは、経済産業省が管轄する「素形材・産業機械・電機電子情報関連製造業」のみ。産業分類のポイントを押さえておきましょう。

  • 産業分類の対象業務を確認
  • 製造業の産業分類番号
  • 他の業務に従事できるか

産業分類が分かれば、外国人に従事させる職種が対象職種に当たるかどうかの判断ができますよ。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

「産業分類」は日本標準産業分類番号!対象業務と条件を確認

産業分類とは、日本標準産業分類番号のこと。特定技能の在留資格が認められるためには、受け入れ事業所が対象の産業分類番号における業務で産業を行っていることが必要です。ただ、番号に当てはまるからといって産業を行っていることにはなりません。

受け入れ時には、対象業務で産業を行っていることを証明する書類を提出する必要があります。産業を行っているとは、直近1年間で製造品出荷額などが発生していることを指します。

製造品出荷額等とは、直近1年間における製造品出荷額、加工賃収入額の
合計であり、消費税及び酒税、たばこ税、揮発油税及び地方揮発税を含んだ
額のことを指します。

引用元:https://www.moj.go.jp/isa/content/930004946.pdf

製造品出荷は、該当事業所に属する材料を使って事業場が製造したものを出荷している場合に限るのも注意点のひとつ。他企業の持っている材料で製造したものは製造出荷したことにならないので、確認しておきましょう。

製造業で受け入れ可能な産業分類番号は?全16業種!

それでは、「素形材・産業機械・電機電子情報関連製造業」の産業分類番号をご紹介します。

2194 鋳型製造業(中子を含む)

225- 鉄素形材製造業

  • 2251 銑鉄鋳物製造業(鋳鉄管,可鍛鋳鉄を除く)
  • 2252 可鍛鋳鉄製造業
  • 2253 鋳鋼製造業
  • 2254 鍛工品製造業
  • 2255 鍛鋼製造業

235- 非鉄金属素形材製造業

  • 2351 銅・同合金鋳物製造業(ダイカストを除く)
  • 2352 非鉄金属鋳物製造業(銅・同合金鋳物及びダイカストを除く)
  • 2353 アルミニウム・同合金ダイカスト製造業
  • 2354 非鉄金属ダイカスト製造業(アルミニウム・同合金ダイカストを除く)
  • 2355 非鉄金属鍛造品製造業

2422 機械刃物製造業

2424 作業工具製造業

2431 配管工事用附属品製造業(バルブ,コックを除く)

245- 金属素形材製造業

  • 2451 アルミニウム・同合金プレス製品製造業
  • 2452 金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)
  • 2453 粉末や金製品製造業

2465 金属熱処理業

2481 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業

25– はん用機械器具製造業(2591消火器具・消火装置製造業を除く)

26– 生産用機械器具製造業

27– 業務用機械器具製造業(274 医療用機械器具・医療用品製造業と276 武器製造業を除く)

28– 電子部品・デバイス・電子回路製造業

29– 電気機械器具製造業(2922 内燃機関電装品製造業を除く)

30– 情報通信機械器具製造業

3295 工業用模型製造業

分野の統合後も、3分野に分かれていた時と受け入れ対象業種は変わりません。

他の業務に従事できる?日本人と同様の関連業務ならOK!

特定技能の「素形材・産業機械・電機電子情報関連製造業」には、特定の対象業務があります。では、対象の業務以外は行ってはいけないのでしょうか?

特定技能外国人は、同じ業務に従事する日本人と同様の関連業務は行っても構わないこととされています。例えば鋳造業務では、以下のような業務を付随的な業務として行うことができます。

  • 加工品の切り削り
  • ばり取り
  • 検査業務
  • 型の保守管理

ただ、付随的な業務がメインとなってしまうのはNG。あくまでメインの業務が中心で、それに付随する業務なら行っても良いということです。対象の業務しかできないわけではないので、特定技能外国人にも日本人従業員と同じように指示を出して構いません。

特定技能「協議会」への加入|タイミングや費用を解説

特定技能外国人を雇うために欠かせないステップが、「協議会」への加入です。協議会について知っておきたい3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 申請時期はビザ申請前!
  • 費用は入会金・年会費無料!
  • 登録支援機関の加入義務はなし!

「素形材・産業機械・電機電子情報関連製造業」では、ビザの申請前に協議会への加入手続きが必要!早めに準備して、漏れのない手続きを行うことが大切です。

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

【申請時期】ビザ申請前に手続きが必要!

「素形材・産業機械・電機電子情報関連製造業」では、在留ビザの申請前に協議会への加入手続きが必要になりました。これは、ビザの申請後に事業所が産業分類の要件を満たしていない事態が多かったから。加入前に、特定産業分類を確認し、行っている事業が対象になっていることを確認しておく必要があります。

協議会への加入には、いくつかの書類を用意する必要があります。初めて特定技能外国人を受け入れる方は、大変に感じることも多いでしょう。受け入れの負担を減らすため、製造業分野でも登録支援機関に業務を委託して受け入れのサポートをしてもらうことができます。

書類の準備が面倒だと感じたら、登録支援機関からのサポートを検討してみるのがおすすめです。

【費用】入会金・年会費無料で加入できる!

協議会への加入費用は、2022年7月現在建設分野を除く全ての業務で無料です。「素形材・産業機械・電機電子情報関連製造業」でも、入会金や年会費は無料。加入にかかる費用は発生しないので、特別な費用の負担なく加入することができます。

建設分野では、失踪者が多いという理由から協議会への加入費用がかかります。年会費の他に、受入れ負担金もかかるので、建設分野の特定技能外国人を雇用する企業の方は、ある程度費用がかかることを覚悟して雇用する必要があります。

【加入義務】登録支援機関は加入義務なし!

登録支援機関の加入義務があるかないかは、業種によって異なります。「素形材・産業機械・電機電子情報関連製造業」には、登録支援機関が協議会に加入する義務はありません。特定技能外国人が働く事業所のみ協議会への加入が必要。登録支援機関としては、加入手続きの手間が省けます。

登録支援機関は、受け入れのサポートだけでなく受け入れ外国人の生活上のサポートも行っている重要な機関。登録支援機関の加入手続きは、案外提出すべき書類が多くて大変なものです。その点製造業は登録支援機関に協議会加入の義務がないので、提出漏れの心配がありません。

製造業で受け入れを考えている方は、まずは事業所の協議会加入申請のための準備をしましょう。

協議会加入に必要な手続きとは?申請方法を一挙紹介!

それでは、実際に協議会に加入するために必要な手続きをチェックしておきましょう。

  1. 対象職種の産業分類を確認!
  2. 証明書などの書類を用意!
  3. ポータルサイトで申し込む!

書類の準備など、何を用意するのか知っておくだけでも随分違うはず。製造業で協議会に加入するための申請方法を覚えておくことで、スムーズな入会ができるでしょう。それぞれのステップについて、詳しく解説します。

ステップ1|事業所が対象職種の産業分類であるか確認!

まずは、受け入れを行う事業所が上記の産業分類番号に当てはまる業務をしていることを確認します。事業所が該当製造品を製造する事業所であることも、併せて確認しておきましょう。該当製造品は、以下からチェックできます。

該当製造品はこちら

対象職種に当てはまるかどうかよく分からない場合は、相談窓口に問い合わせすることができます。電話やメールで相談できるので、質問がある方は直接聞いてみましょう。

ステップ2|産業の証明になる書類を揃える!

対象職種であることが確認できたら、次のステップに移ります。事業所で実際に産業をしている証明になる書類の準備を始めましょう。

証明書を作成するときは、必ず「証明書類作成テンプレート」を使う必要があります。テンプレートはポータルサイトからダウンロードできます。証明書類のサンプルもダウンロードできるので、参考にしてみてください。

証明書類作成テンプレートはこちら

必要な書類は、以下のとおりです。

  1. 製造品の画像と説明文(※1)
  2. 製造品が最終的に組み込まれる完成品(最終製品)の画像と説明文(※1)
  3. 製造品を生産するために用いた設備(工作機械、鋳造機、 鍛造機、プレス機等)の画像及び説明文(※1)
  4. 事業実態を確認できる、直近1年以内の証跡画像(上記①の製造品の納品書、出荷指示書、仕入れ書等)

引用元:https://www.sswm.go.jp/entry/reception.html

該当者のみ、以下の書類の提出も必要です。

  1. 請負による製造の場合は、『請負契約書の写し』(※2)
  2. 権利等の関係で、製造品等の画像を提出できない場合は、『製造品の画像提出不可の理由書』(様式自由)
  3. その他、製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会から確認の過程で追加提出の指示があったもの(初回届出時は不要です)

引用元:https://www.sswm.go.jp/entry/reception.html

該当する製造品の画像や資料の他、細かな説明文なども提出しなければなりません。1年以内に出荷まで済ませていることが前提なので、製造品の納品書・出荷指示書・仕入れ書などをあらかじめ取っておくようにしましょう。

スッテプ3|ポータルサイトで申し込みする!

書類の準備ができたら、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野のポータルサイトから申し込みを済ませます。入会フォームに進むと途中保存はできません。事前に入力項目を確認することができるので、しっかりとチェックしておきましょう。

入力項目のダウンロードはこちら

また、同一企業でも異なる事業所で受け入れる場合は、1つの事業所につき1回の申し込みが必要です。例えば同じ会社でも2人の外国人を別々の事業所で受け入れる場合には、それぞれ1回ずつ、合計2回申し込みする必要があります。

事業所が対象業務に従事していることを確認して証明書を手元に用意できたら入会フォームに進み、手続きを完了させましょう。

まとめ|時間に余裕を持って早めの準備を!

製造業での受け入れを叶えるためには、時間に余裕を持って早めの準備が必要です。

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野の産業分類は、少しややこしいと認めざるをえません。特定技能ビザの申請前に協議会に入る必要があるのですが、入会には対象業務の確認と提出書類の用意があります。初めて特定技能外国人を受け入れる方は、こんなにも大変なものなのかと感じることもあるでしょう。

登録支援機関として多くの特定技能外国人受け入れの実績を誇るKMTなら、製造業での受け入れのサポートも可能です。5ヶ国語に対応してお待ちしていますので、製造業での受け入れが困難に感じたらぜひご相談ください。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。