受入条件移行

技能実習生や留学生を特定技能に移行して、引き続き受け入れたいと考えている方は多いでしょう。しかし、「特定技能への移行ってそんなに簡単にできるの?」「何か注意すべき点はある?」と気になっている方も多いはずです。

そこでこの記事では、技能実習や留学から特定技能に移行するときの注意点について、「技能実習」からと「留学」からの移行に分けて詳しく解説します。移行手続きのときについ見落としがちな書類などの注意点を解説するので、ぜひチェックしてスムーズな切り替えに役立ててくださいね。

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技能実習・留学の在留資格から特定技能へ変更する際の注意点とは?

技能実習生や留学生が特定技能として働き続けるためには、「技能実習」や「留学」の在留ビザから「特定技能」ビザに変更しなければなりません。特定技能への変更を申請するときに注意したい点は、以下の4つです。

  • 分野ごとの要件を確認
  • 国ごとの要件を確認
  • 「特定活動」への移行も検討
  • 変更前の資格ごとの要件を確認

このように、多くの視点から総合的に必要書類を確認しながら手続きを進めていくことになります。注意点をチェックして、手続きの漏れを防ぎましょう!それぞれの注意点について、詳しく解説します。

分野ごとに定められた要件を確認!

特定技能への移行の際は、特定技能で受け入れる分野ごとに移行の要件が少しずつ異なります。分野によって特別な要件がある場合があるので、各分野で求められる要件を確認しておく必要があります。

例えば建設分野の場合は、特定技能の資格変更申請前に国土交通省から「建設特定技能受入計画(受入計画)」の認定を受ける必要があります。さらに受入計画の認定を受けるためには、以下の要件が必要になります。

  • 建設業法第3条の許可を受ける
  • 建設キャリアアップシステムへの登録(受入企業・外国人の両方)

また、特定技能は分野によっては受入れできる人数に制限がある場合があるので、注意が必要です。特に建設分野や介護分野には特別な条件があるので、各分野ごとに定められた要件を管轄省庁のホームページなどでチェックしておくことが大切です。

国ごとに定められた要件を確認!

特定技能は、出身国ごとに特別な要件が定められている場合もあります。例えば出身が以下の国の場合は、在留資格変更許可申請の際に推薦表が必要です。

  • カンボジア
  • タイ
  • ベトナム

特にベトナムの推薦者表は、前もって駐日ベトナム大使館の労働管理部に問い合わせて必要な書類を手に入れなくてはなりません。それぞれの国ごとに異なる推薦表が必要になり、特定技能への移行申請の前に一定の手続きが必要になるため、早めに準備をしておく必要があります。

国ごとの必要書類も忘れずに揃えておくことで、手続きがスムーズになります。いろいろと書類を集めているうちに、国ごとに定められた要件は忘れがちになりますが、出身国によっては特別な要件が必要になることも頭に入れておきましょう。

ベトナムの推薦者表については、こちらの記事で詳しく解説しているので気になる方はチェックしてみてください。

特定技能に必要な推薦者表の取得ガイドを徹底解説

 

「特定活動」への移行も検討!

コロナ禍で帰国できなくなってしまった技能実習生や留学生は、条件を満たすことで「特定活動」という在留資格に変更して引き続き日本に在留することができます。

これは特例として制定された措置でしたが、在留資格の期限までに特定技能1号への移行準備が整っていない場合も、技能実習や留学から「特定活動」に変更して在留期間を延ばすことができます。もし特定技能への移行準備が間に合わない場合は、「特定活動」への移行も検討してみましょう。

特定技能1号への移行を希望する場合は、「特定活動」の期限は6ヶ月で、就労も可能です。ただ、「特定活動」への変更には、在留期間の期限が終わるまでに在留資格変更許可申請ができないやむを得ない事情が必要です。例えば、申請人が悪いことをして受入機関を変更する場合などは、「特定活動」への変更が認められません。

また、同じ「特定活動」という名前の在留資格ですが、特定技能1号への移行準備の為の特定活動の場合は、在留した期間が、在留資格「特定技能1号」の通算在留期間(上限5年)に含まれます。コロナ禍での帰国困難の特定活動は5年間には含まれないなど、違いがありますので申請前にどの特定活動なのかを確認するようにしましょう。

変更前の資格ごとの要件を確認!

特定技能への在留資格変更許可の申請の手続きは、変更前の資格ごとに要件が異なります。「技能実習」からの変更と「留学」からの変更では、必要書類や手続き方法が違うので、それぞれの資格ごとに必要な条件をチェックしておくことも大切です。

例えば「技能実習」からの変更の場合は、技能実習時の実習内容と特定技能での職種が関連していて、技能実習2号を良好に修了した証明を取得しているとスムーズに手続きが行えます。一方「留学」からの移行の場合は、特定技能1号の技能試験や日本語試験に合格していることが条件になります。スムーズな手続きを行うためには、それぞれの在留資格で求められる条件を確認してひとつひとつ満たしていくことが大切です。

技能実習や留学から特定技能に移行するための手続きについては、こちらの記事で詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてくださいね。

技能実習・留学から特定技能に移行するには?手続きや注意点を詳しくおさらい!

【 技能実習 】から特定技能へ変更する際の注意点

ここからは、技能実習から特定技能に変更する際の注意点について、解説してきます。技能実習から特定技能への移行で注意すべきポイントは、以下の2つです。

  • 技能実習として経験が必要な日数がある!
  • 納税や届出の義務を守っていることも確認!

技能実習から特定技能への移行には案外見落としがちな注意点があり、確認を怠ったしまうと審査が長引いてしまうこともあります。そのため、前もって注意点を確認しておくことが大切です。それでは、技能実習生が特定技能に変更する際のそれぞれの注意点について、詳しく解説します。

技能実習として経験が必要な日数がある!

技能実習から特定技能に変更する場合は、以下の条件があります。

技能実習から特定技能移行に必要な条件

  • 技能実習2号を良好に修了している
  • 技能実習の職種・作業内容と特定技能1号の業務に関連性があること

技能実習には1号から3号までがあり、特定技能に変更する条件は、技能実習2号までを良好に修了していることです。具体的には、技能実習1号を1年+技能実習2号を1年10ヶ月以上で、合計2年10ヶ月以上を技能実習として経験している必要があります。

技能実習から特定技能に移行するときには、技能実習での期間が合計2年10ヶ月以上あることを確認しておくことが大切です。同時に、技能実習時の職種・作業内容と特定技能1号での業務に関連性があることも確認しておくとスムーズです。厚生労働省のホームページから、移行対象職種を確認しておきましょう。

移行対象職種について詳しく知りたいならこちら

納税や届出の義務を守っていることを確認!

技能実習生にも、納税や届出の義務があります。きちんと納税や届出を行っていないと審査で不利になるので、納税や届出をしっかりと行っていることも確認する必要があります。在留資格変更許可申請時に必要になるのは、以下の書類です。

  • 申請人の個人住民税の課税証明書(直近1年分)
  • 申請人の住民税の納税証明書(全ての納期が経過している直近1年度分)
  • 申請人の給与所得の源泉徴収票の写し(直近1年分)

住民税に滞納があったり届出をしていない場合は、「公的義務履行に関する誓約書」が必要になります。納税や届出の義務を果たせないやむを得ない理由を記載し、提出します。

納税や届出の義務は、特定技能に移行してからもしっかりと守り続けなければならないものです。ここできちんと確認しておき、この先も納税や届出を怠らないようにしておきましょう。

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【 留学 】から特定技能へ変更する際の注意点

続いて、留学生が特定技能を取得するときの注意点について、チェックしておきましょう。留学生が特定技能になるためには技能テストと日本語テストに合格する必要がありますが、それ以外にも注意しなければならないことがあります。注意すべき4つの点は、以下のとおりです。

  • アルバイトが所定時間内であることを確認!
  • 国民健康保険や国民年金が未納だと許可が出ない!
  • 国民健康保険が未納の場合は市役所で確認!
  • 国民年金が未納なら年金事務所で確認!

留学から特定技能への変更には、つい見落としてしまいがちなポイントがあります。留学から特定技能へ変更する際のそれぞれの注意点について、詳しく解説します。

アルバイトが所定時間内であることを確認!

「留学」の在留資格では、「資格外活動許可」を得ることで、週に28時間以内の労働が可能です。週28時間までならアルバイトとして働けるのですが、まれにアルバイトをし過ぎて週28時間を超えてしまっている留学生がいます。その場合は特定技能への変更許可が下りなくなってしまうので、注意が必要です。

特に留学生が複数のバイト先で働いていた場合は、受け入れ先が留学生のトータルで働いている時間を把握しきれていいないため、他のアルバイトと合わせて週28時間を超えて働かせてしまうことがあります。アルバイト先が複数ある場合は、税務署発行の納税証明書(その3)を添えて確定申告を行う必要があります。その際、給与所得の源泉徴収票をなくしてしまった場合は、アルバイト先から再発行してもらうようにしてください。

国民健康保険や国民年金に未納額があると許可が出ない!

日本に3ヶ月以上滞在する留学生には、国民健康保険への加入義務があります。留学生は、厚生年金保険や健康保険、雇用保険には加入できないので、国民健康保険に加入する必要があります。また、20歳以上で日本に滞在する全ての方が国民年金に加入する義務があり、これには留学生も含まれます。

そのため、留学生にも国民健康保険や国民年金の納入義務があり、未納額があると特定技能への移行許可が下りず、審査が長引くことになります。留学生が特定技能に移行する際には、以下の納税・納付状況について確認できる書類が必要です。

  • 国税
  • 地方税
  • 国民健康保険(税)
  • 国民年金の保険料

それぞれの納税・納付が完了していることを証明できる書類を集め、未納額がないことを確認しておきましょう。

国民健康保険に未納額がある時は、市役所で確認!

保険料についての問い合わせ先は、種類によって異なります。国民健康保険に未納額があることを発見した場合は、どこに連絡しようか迷うこともあるかもしれませんが、市役所で確認してください。加入していなかった場合は、転入日からの未納金を納めることになります。

国民健康保険は、入ることで高額な医療費の負担が軽減される制度です。しかし、自分で加入しなくてはならないので、入っていないケースも多いです。そのため、これから特定技能になろうとする留学生には、日本で医療費の負担が減ることをきちんと理解してもらったうえで保険料の納付をしてもらうのが良いでしょう。

なお、在留資格変更許可が下りた場合は、市役所で国民健康保険の更新が必要です。在留資格の期限が切れたあとには国民健康保険が使えなくなるので、医療費は全額自己負担になります。そのため、在留期限が切れる前に特定技能を取得できるように、早めに準備しておくのがおすすめです。

国民年金に未納額がある時は、年金事務所で確認!

国民年金も留学生には納付義務がありますが、未納になっているケースが多いです。国民年金を支払っておくことで老後にお金を受け取れるだけでなく、障害を負ってしまったり家族に不幸があったときにもお金を受け取ることができます。ただ、いずれ帰国してしまうことの多い留学生にはあまりメリットがないと考える方が多いうえ、保険料が高くて払えない方も多いのが現状です。

国民年金に未納があるかどうかは、年金事務所で発行する「被保険者記録照会回答票」で確認することができます。まずは「被保険者記録照会回答票」を発行してもらい、未納があるか確認しておきましょう。全て納付が完了している場合は、特定技能への在留資格変更申請の手続きの際に「被保険者記録照会回答票」をそのまま提出できます。

留学生の場合は、学生納付特例制度で国民年金保険料の支払いを猶予してもらうことができます。未納がある場合は学生納付特例を申請することで支払いを猶予してもらえますが、特例が許可されるまでには時間がかかるため、留学の在留期限までに手続きが間に合わないことがあります。いずれにしても、まずは年金事務所に問い合わせし、未納があるか確認しておきましょう。

もしも、払うことが難しければ入管が発行している【 公的義務履行に関する誓約書 】という書類で省略も可能

留学生は国民健康保険や国民年金に加入して支払いを行うことが義務ですが、実際は払えていないケースも多いのが現状です。もし払うことが難しい場合は、入管が発行する「公的義務履行に関する誓約書」という書類で省略することも可能です。ただ、留学や技能実習時に一度でも「公的義務履行に関する誓約書」を入管に提出している場合は、特定技能の申請時には使えないので注意が必要です。

「公的義務履行に関する誓約書」は、留学や技能実習時に市民税を納めていることを証明するための「納税証明書」の代わりとしても利用が可能な書類です。もし留学生や技能実習生が支払うべき社会保険料を払えない場合は、「公的義務履行に関する誓約書」を提出することも検討してみましょう。

特定技能への移行での必要書類や手続きについては、こちらの記事で詳しく解説しているのであわせてチェックしてみてくださいね。

特定技能への移行に必要な書類とは?個人や法人、業種や国籍ごとに様々!

まとめ|見落としがちな注意点を確認してスムーズな移行を!

特定技能への移行は、たくさんの書類が必要ですべてに抜かりなく目を通すのは難しいものです。しっかりと注意点を確認しておくことで、スムーズな移行ができるようになりますよ。

技能実習や留学から特定技能への移行手続きは、登録支援機関に業務を委託するのもおすすめです。多くの実績があり特定技能への移行手続きに詳しい登録支援機関なら、信頼感を持って任せることができます。登録支援機関KMTは、技能実習生や留学生を特定技能外国人に移行するためのサポートも充実しています。特定技能への移行で何か困り事があるなら、ぜひKMTにご相談ください

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この記事の監修者

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。

KMT CO.,Ltd.

この記事の編集・運営者:株式会社KMT
登録支援機関として特定技能の支援事業を行っており、実務で培った経験と取締役を務める行政書士の確かな知識をもとに特定技能に関するコラムを提供している。
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