12業種

「特定技能外国人を雇いたいけど、思ったような職種がない…」「外国人を長く雇用したいのに、今の職種だと期限がある…」こんな悩みはありませんか?

特定技能外国人を雇うためには、既定の職種で働かせる必要があります。しかし、今の職種だけでは不十分だと感じている方もいるのではないでしょうか。そこで今記事では、特定技能の職種の追加について分かりやすく解説します。

職種や業務追加の可能性や追加のデメリットについても解説するので、いつから職種が追加されるのか気になる方はぜひ参考にしてください。

特定技能とは?法務省出入国在留管理庁が管理!

特定技能とは?法務省出入国在留管理庁が管理!

特定技能の職種について解説する前に、まずは特定技能制度について2つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 技能実習との違いは?
  2. 特定技能の1号2号とは?

特定技能とは、法務省出入国在留管理庁が管理する日本の人手不足を補うための制度。日本で働きたい外国人に人気の在留資格で、外国人を雇用する企業主なら知っておきたい資格です。特定技能についてのそれぞれのポイントについて、詳しく解説します。

技能実習との違いは?労働者として活躍できる!

特定技能とは、2019年から受け入れを開始した比較的新しい外国人の受け入れ制度です。国内では人手が足りない分野で、専門的な知識と技能を持った外国人を雇用する制度。日本の人手不足を補うことが目的なので、特定技能として受け入れられた外国人は即戦力として日本人雇用者と同等に活躍できます。

一方技能実習は1993年に創設された制度。外国人の受け入れ制度として技能実習を思い浮かべる方も多いと思いますが、技能実習は開発途地域への経済発展をするための人材育成を目的とする制度です。そのため、労働者として活躍するのではなく、自国に知識と技能を持ち帰るためにあくまで実習生として技能を習得するのが目的。単純作業などの労働はすることができません。

特定技能の1号と2号とは?資格の違いを解説!

特定技能には、1号と2号があります。特定技能2号は特定技能1号よりも熟練した技能を持つ外国人に与えられる資格です。

大きな違いは、在留期限と家族帯同の有無。特定技能1号には在留期限が通算で最大5年までと定められていますが、特定技能2号には在留期限がありません。また、特定技能1号には家族の帯同が認められていませんが、特定技能2号には家族の帯同が認められています。

特定技能は比較的新しい在留資格で特定技能2号の取得は難しかったため、今までのところ特定技能といえば「特定技能1号」を意味することがほとんどでした。しかし今後特定技能2号を取得できる職種が増えてくるにつれて、2号の取得者や認知度が上がってくることでしょう。

特定技能で受入れ対象の業種は?1号と2号で異なる!

特定技能では、受け入れ対象の業種が決まっています。受け入れ予定の企業主さんは、受け入れ対象の業種をチェックしておく必要があります。

  • 【1号】受入れ可能な業種を紹介!
  • 【2号】受入れ可能なのは2分野のみ!

特定技能1号と特定技能2号では受け入れ対象の業種が異なるので、対象業種をあらかじめ確認しておきましょう。よく確認しておくことで、2号に移行するときに慌てずに済みますよ。それぞれの受け入れ対象業種をご紹介します。

【1号】受入れ可能な全12業種を一覧で紹介!

特定技能1号で受け入れが可能な業種は、全部で12種です。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備業
  7. 航空業
  8. 宿泊業
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業

製造3分野と呼ばれる「素形材産業」「産業機械製造業」「電気電子情報関連製造業」は2022年に統合され、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」分野となりました。業務内容は以前と変わっていません。

特定技能1号では、幅広い分野で外国人の受け入れが可能です。日本の人材のみでは人手不足に陥っている業種が、幅広く受け入れ対象になっています。上記業務を営む企業の方は、特定技能1号として外国人の雇用を考えてみるのも良いでしょう。

【2号】介護以外の11分野で受入れ可能に!

2023年6月、特定技能2号として受け入れ可能な業種が拡大しました。特定技能2号として受け入れ可能な業種は、以下の11分野です。

  1. ビルクリーニング
  2. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  3. 建設
  4. 造船・舶用工業
  5. 自動車整備業
  6. 航空業
  7. 宿泊業
  8. 農業
  9. 漁業
  10. 飲食料品製造業
  11. 外食業

介護分野のみ対象外ですが、2種から11種への拡大は、特定技能制度の大きな前進となるでしょう。とはいえ特定技能は2019年から始まった制度。2019年4月から特定技能として就労している外国人でも2023年6月時点ではまだ5年に満たないので、拡大が決定されたからといってすぐに特定技能2号を取得できる外国人は少ないでしょう。

職種追加の可能性は?今後増える予定について解説!

職種追加の可能性は?今後増える予定について解説!

特定技能2号として受け入れ可能な職種が少なかったのですが、新たに職種が追加される可能性が色濃くなってきています。職種追加の可能性について、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 介護分野が対象外なのはなぜ?
  2. コンビニ・トラック・廃棄物処理業界追加を検討中!

徐々に拡大しつつある業種ですが、どの分野が拡大するのでしょうか。業種拡大の可能性を知っておくことで、これからの特定技能外国人の受け入れ体制を整えていくことができます。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

介護分野が2号の対象にならないのはなぜ?

今回受け入れ拡大が認められる予定の分野には、介護分野が入っていません。その理由は、介護分野には特定技能以外の資格があるから。「介護」という在留資格で日本での無期限の就労と家族の帯同が認められているからです。

特定技能1号で介護業で働いていた方も「介護」の在留資格を取れば日本での無期限就労が可能。職種の拡大案が認められれば、特定技能1号で受け入れ可能な業種全てで無期限の在留と家族の帯同ができることになります。

特定技能としては介護分野が認められていないので、特定技能1号で介護の業務をしていた方が日本での無期限就労をしたい場合は介護福祉士の国家資格を取得する必要があります。介護福祉士の資格がとれたら、「介護」の在留資格に変更ができますよ。

コンビニ・トラック・廃棄物処理業界追加を検討中!

2023年6月現在、以下の分野で業種の追加が検討されています。

  • コンビニ
  • トラック運転や配達荷物の仕分け
  • 産業廃棄物処理

3種とも現在特定技能として受け入れ可能な職種以外で、深刻な人手不足に悩む業種。特にコンビニは現在でも外国人留学生が働くことが多く、労働時間に制限があるので人手不足の解消にはなっていません。

最近ではセルフレジサービスを導入しているコンビニも増えてきたため、接客の機会を減らしながらの労働が可能。特定技能として受け入れが可能になれば就労時間制限がなくなり人手不足への解消へとつながるので、特定技能の受け入れ分野として追加される可能性が高いです。

ただ、登録支援機関への委託などの雇用コストがかかることなどいくつか課題があることから、今のところ追加は見送りになっています。

分野ごとの業務内容は?追加される可能性はある?

特定技能には、各分野ごとに受け入れ可能な業務内容も決まっています。特定技能の受け入れ分野は徐々に広がりつつありますが、業務内容の追加がありえるのか気になっている方も多いでしょう。業務内容の追加について知っておくべき情報は、次の2点です。

  1. 各分野の対象業務内容は?
  2. 追加の可能性あり!職種追加を検討!

対象分野の拡大と共に、分野ごとの業務内容も今後追加の可能性があります。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

各分野の対象業務内容は?最新の情報をチェック!

各分野で対象になっている業務内容は、法務省の「特定技能ガイドブック」からチェックすることができます。最新の情報を随時更新しているので、こまめにチェックしておきましょう。

特定技能ガイドブック

業務内容の詳細は、3ページに記載されています。とはいえ、対象業務がよく分からずに雇用していると違法になってしまうことも。業務内容が対象になっているのかしっかりと確認したい場合は、各分野を管轄する省庁に直接お問い合わせください。

また、特定技能には支援計画の作成などその他にも分からないことが多いもの。スムーズに特定技能外国人を雇用したいなら、特定技能について熟知した登録支援機関に相談するのがおすすめです。

追加の可能性あり!管轄省庁を中心に職種追加を検討!

各分野での受け入れ対象業務は、追加される可能性があります。管轄省庁を中心に人手不足が続く職種の追加を随時検討しています。

例えば建設業には以前は特定技能として受け入れ対象外の業務内容がありましたが、2022年8月30日から建築業として許可されている全ての業務が受け入れ対象になりました。以前は19区分に分かれていた受け入れ対象区分が「土木区分」「建築区分」「ライフライン・設備区分」の3区分に変更になり、どの区分に該当するのかも分かりやすくなりました。

これまで建築分野でも業務内容が特定技能として受け入れ可能なのか迷うこともあった企業主さんも、迷わずに受け入れができるようになりました。このようにその他の分野でも業務内容が追加される可能性はあるので、法務省のホームページなどで最新情報に注目してみてください。

職種の拡大のデメリットは?懸念される点を解説!

人手不足を解消できる業種拡大のメリットは大きいですが、特定技能2号で受け入れ可能な業種が拡大することで懸念される点もいくつかあります。職種拡大のデメリットは、大きく分けて以下の3つです。

  1. 建設や造船分野で特定技能外国人が減る!?
  2. 登録支援機関の仕事が減る!?
  3. 特定技能の試験が難しくなる!?

デメリットも知っておくことで、今後の展開が予想できますね。それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

建設や造船分野で特定技能外国人が減る可能性あり!

建設分野と造船・舶用工業分野は、特定技能2号として無期限の就労資格を取得できる2つだけの分野です。

しかし職種が拡大されると、他の分野での特定技能2号取得もできるようになります。これまでは、魅力的に感じるかどうかは別として建設分野や造船分野なら無期限の就労資格が得られると思い、就労資格を取ろうとした外国人もいたはずです。職種が拡大されたら、今度は別の自分に合った分野で特定技能を取得する外国人も増えていくことでしょう。

そのため、これまでも確保が難しかった建設や造船分野での外国人の確保が、業種拡大によりさらに難しくなる可能性があります。職種が拡大される分野では多くの外国人就労者を確保できる絶好の機会ですが、建設や造船分野では人手不足を加速させてしまうかもしれません。

長期労働者が増えて登録支援機関の仕事が減る可能性も

特定技能2号でも引き続き登録支援機関がサポートすることもできますが、特定技能2号の職種拡大により長期労働者が増えると登録支援機関の仕事が減ってしまう可能性も問題視されています。

特定技能2号で受け入れ可能な職種が追加されると、外国人長期労働者が増えることが予想されます。登録支援機関は、特定技能1号外国人を受け入れ企業に代わってサポートする機関。特定技能2号の支援は義務付けられていません。また、長期労働になると企業主さんも支援に慣れてきて登録支援機関に支援を委託する必要がなくなり、自社サポートに切り替えるケースも増えてくるでしょう。

登録支援機関としては、特定技能2号の外国人のためにできるサポートを考えてみる必要がありそうですね。

試験が難しくなることも!2号への移行条件に注意!

特定技能の職種拡大案は、移民受け入れへの第1歩と考える方も少なくありません。受け入れを慎重にしなければならないという考えもあり、業種は拡大されるものの特定技能2号取得のための試験は難しくなる可能性があります。

試験だけでなく、2号への移行のための条件が厳しくなる可能性も。これまでよりも一層条件が厳しくなることが考えられ、せっかく業種が拡大されても簡単に特定技能2号が取得できるわけではなくなる懸念もあります。

現在特定技能2号が取得できる建設業と船舶業での2号取得の要件は、「2号評価試験合格」と「複数の技能者を指揮できる班長クラスの実務経験」です。これらの条件は、今後の職種拡大でさらに厳しくなることが予想できます。

まとめ|今後ますますの職種拡大に期待!

まとめ|今後ますますの職種拡大に期待!

今までは5年間という枠の中で外国人を雇わなければならなかった企業主さんも、今後建設・造船分野以外でも長期間外国人を就労させることができるようになりました

コンビニや運送業での特定技能の取得も夢ではなくなってきました。今後もますますの職種拡大に期待がかかります。職種拡大に伴い長期労働者として特定技能外国人の雇用を考えている方は、まずは外国人支援のプロである登録支援機関KMTにご相談ください。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。