建設業で特定技能外国人を受け入れるときに専門工事業団体への加入が必要」という噂がありますが、本当でしょうか?でも、建設業ではJACへの入会が必須だったのでは?と混乱している方も多いでしょう。

そこでこの記事では、混乱しがちな建設業の受入れ条件について分かりやすく解説!専門工事業団体への加入は必須なのか解説し、専門工事業団体の役割から加入方法まで詳しくご紹介します。専門工事業団体について疑問がある受入れ企業の方は、ぜひ参考にしてみてください。

【おさらい】建設業で特定技能を受け入れるための条件とは?

【おさらい】建設業で特定技能を受け入れるための条件とは?

まずは、建設業で特定技能外国人を受け入れるための条件を確認しておきましょう。受入れを希望する受入れ企業は、以下の5つの条件を全て満たしている必要があります。

  1. 建設業許可を受けている
  2. キャリアアップシステムの事業者である
  3. JACに加入している
  4. 受け入れ人数の上限が日本人の社会保険加入者数である
  5. 国交省が定める基準を満たす雇用条件である

まず、受入れ企業は建設業法第3条に沿った内容で建設業の許可を受けていなければなりません。受入れ企業の営業所が1都道府県内に収まる場合は各都道府県庁の許可が必要、2都道府県以上にまたがる場合には地方整備局などで国土交通大臣の許可が必要です。

また、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録してあること、JACに加入していることも必須条件。受入れ人数が、日本人の社会保険に加入している正社員よりも少ないことも確認しておきましょう。さらに、国土交通省が定める基準を満たす雇用条件であることも必須。これらの受入れ条件が揃っていることを確認したうえで、受入れの手続きを進めていくことになります。

JACの入会方法は?正会員と賛助会員の違いを確認!

JACの入会方法は?正会員と賛助会員の違いを確認!

JACには正会員と賛助会員があり、JACの正会員になっているのは建設業者団体です。建設業者団体は、正会員としてJACへ年会費を納めます。一方企業や個人・登録支援機関は賛助会員になり、賛助会員として年会費を納めます。年会費は、以下のとおりです。

  • 正会員:36万円
  • 賛助会員:24万円

各種免除はありますが、免除のない場合は上記の費用がかかります。さらに特定技能外国人1名につき、年間15~24万円の受入負担金を払わなければなりません。正会員と賛助会員では、年会費に違いがありますが、どちらにしても高額な費用がかかることには変わりありません。

建設業での特定技能受入れに必須のJACへの入会ですが、受入れ機関がJACに加入するには2つのルートがあります。JACには、間接的にまたは直接的に加入が可能です。

  1. 間接的=JACの正会員である団体の傘下に入会すること
  2. 直接的=JACの賛助会員に入会すること

費用を抑えるには?正会員になっている専門工事業団体に入ればOK!

費用を抑えるには?正会員になっている専門工事業団体に入ればOK!

JACへの入会はお金がかかると諦めかけてはいませんか?しかし、JACへの入会は費用を抑える方法もあります。JACの正会員になっている専門工事業団体に入会することで、JACに間接的に入会したことになり、費用を抑えることができます。そのため、JACへは間接的に入会するのがおすすめです。

JACに間接的に入会した場合は、各専門工事業団体の定める年会費を支払えばOK。年会費は、ほとんどが賛助会員の年会費よりも安く設定されています。そのため、ほとんどの受入れ企業は専門工事業団体の傘下に入り、間接的にJACへ入会しています。

専門工事業団体は、建設に関わる労働者の適正な就労管理を行うと同時に、各受け入れ企業にかかるJACへの費用を抑えるという重要な役割も担っているのです。

建設業許可毎に異なる?対応する工事業団体を専門分野毎に紹介!

建設業許可毎に異なる?対応する工事業団体を専門分野毎に紹介!

JACに間接的に入会する場合は、専門工事業団体への加入が必要です。令和6年4月時点で、受入企業を傘下に有する正会員団体は51個あります。一般的には、建設業許可に記載されている業務内容に合った団体に加入します。

主な業務内容とそれに対応するおすすめの工事業団体は、以下のとおりです。

  • 型枠→(一社)日本型枠工事業協会
  • 建設機械施工→(一社)日本機械土工協会
  • 鉄筋→(公社)全国鉄筋工事業協会
  • 鳶→(一社)日本鳶工業連合会
  • 内装仕上げ→ 日本室内装飾事業協同組合連合会
  • 木材の戸建て建築を取り扱うならココ→(一社)日本在来工法住宅協会
  • 上記に該当しないならココ→(一社)全国中小建設工事業団体連合会

それぞれの職種に対応する工事業団体について、詳しく解説します。

型枠→(一社)日本型枠工事業協会

主に型枠工事をする仕事の場合は、一般社団法人(一社)日本型枠工事業協会がおすすめです。型枠工事は、鉄筋コンクリートの強度を上げる大工工事の中でも重要な業務。(一社)日本型枠工事業協会は、型枠工事業の中で内閣総理大臣から公益法人として認可された唯一の工事業団体です。(一社)日本型枠工事業協会では、登録型枠基幹技能者という独自の資格も認定しています。

(一社)日本型枠工事業協会に入会する場合の費用は、以下のとおりです。

  • 入会金:5,000円
  • 年会費:20,000円

JACの賛助会員への年会は24万円なので、(一社)日本型枠工事業協会に入会することで大幅に費用が削減できますね。入会の際には、特定技能外国人の受入負担金も同時に支払います。(一社)日本型枠工事業協会への入会を希望するなら、電話で問い合わせてみましょう。

  • 問い合わせ電話番号:03-6435-6208

建設機械施工→(一社)日本機械土工協会

建設機械施工で技能実習生の受入れをしてきた会社や建設機械施工が主な業務の会社は、(一社)日本機械土工協会が良いでしょう。特定技能外国人の受入れの場合は、「特定会員」として加入することになります。

特定会員は、土を動かす仕事が入会の条件。ショベルカーやクレーンなどを使った機械土工の他、土工(掘削作業・埋戻し作業・盛土作業・コンクリートの打込み作業など)の工事に従事している受入れ企業は、特定会員として入会することができます。

(一社)日本機械土工協会に特定会員として入会する場合の費用は、以下のとおりです。

  • 入会金:20,000円
  • 年会費:60,000円(月額5,000円)

会費は、3ヶ月分、6ヶ月分、1年分のいずれかでまとめて支払うことができます。(一社)日本機械土工協会への入会を希望するなら、電話で問い合わせてみましょう。

  • 問い合わせ電話番号:03-3845-2727

鉄筋→(公社)全国鉄筋工事業協会

鉄筋工事が主な業務の場合は、公益財団法人(公社)全国鉄筋工事業協会への入会をおすすめします。

(公社)全国鉄筋工事業協会は、2012年に専門国事業団体として初めて公益社団法人の認可を受けた団体。多くの人の利益になる公益を目的とし、技能検定や鉄筋施工マニュアルの作成、鉄筋工事に従事する外国人の受入れなどの幅広い活動を行っています。(公社)全国鉄筋工事業協会は、特定技能の受入れをサポートする登録支援機関にもなっている協会です。

(公社)全国鉄筋工事業協会に入会した場合の入会金や年会費などの費用は、公表されていません。入会を希望する場合は、電話で問い合わせをしてみましょう。

  • 問い合わせ電話番号:03-5577-5959

鳶→(一社)日本鳶工業連合会

鳶(とび)職をしている企業の場合は、(一社)日本鳶工業連合会への入会がおすすめです。(一社)日本鳶工業連合会は、とび・土木工事業者により組織された団体です。とび職種は、令和2年に特定技能の建設分野での受入れが始まった職種。(一社)日本鳶工業連合会では、特定技能外国人の受入れサポートも行っています。

(一社)日本鳶工業連合会に入会した場合の入会金や年会費などの費用は、公表されていません。入会を希望する場合は、電話で問い合わせをしてみましょう。

  • 問い合わせ電話番号:03-3434-8805

なお、(一社)日本鳶工業連合会は公式サイトのお問い合わせフォームからのお問い合わせも可能です。

お問い合わせフォームはこちら

内装仕上げ→ 日本室内装飾事業協同組合連合会

内装仕上げが主な業務の場合は、日本室内装飾事業協同組合連合会(日装連)が良いでしょう。日装連は、室内装飾や内装仕上げ工事、室内装飾用資材および製品の販売・加工を行う業者の発展のためにつくられた経済産業省と国土交通省に認可された団体です。

日装連には、組合員か賛助会員として加入することができます。組合員として加入する場合は、日装連会員である全国の各都道府県組合に加入することになります。費用は都道府県ごとにそれぞれ異なりますが、東京室内装飾事業協同組合の場合は以下のとおりです。

  • 出資金:30,000円
  • 年会費:60,000円(月額5,000円)

出資金とは入会金のようなもので、脱退した時には払い戻しがあります。日装連の組合員として加入を希望する場合は、まずは日装連に問い合わせをしてみましょう。

  • 問い合わせ電話番号:03-3431-2775

木材の戸建て建築を取り扱う会社ならココが最安値→(一社)日本在来工法住宅協会

木材の戸建て建築を取り扱う会社の場合は、(一社)日本在来工法住宅協会(在住協)が一番安く、おすすめです。在住協は2010年11月に設立された工事業団体。在来工法を普及させ、安全な住環境を整えることを目的としています

在来工法とは、コンクリートの基礎に柱を立て、建てた柱に梁をつけて骨組みをつくり、屋根を張って壁の取り付けを行う伝統的な建築方法。在住協は、在来工法を扱う建築業への入職を推進するためにも、セミナーや企業見学バスツアー、中学生の職人体験授業などを通して建築の魅力を伝えています。

在住協には、正会員(一般会員)として加入することができます。大きな会社だと賛助会員として入会を勧められることがありますが、一般的な受入れ企業は正会員として加入します。在住協に正会員として入会する場合の費用は、以下のとおりです。

  • 入会金:無料
  • 年会費:6,000円

在住協は、他の専門工事業団体と比較してもかなり安い費用で会員になれます。賛助会員でも年会費が12,000円と低額なので、もし木材の戸建て建築を取り扱っているなら検討してみましょう。お問い合わせの電話番号は、以下のとおりです。

  • 問い合わせ電話番号:03-6408-0285

上記に該当しないならココがおススメ→(一社)全国中小建設工事業団体連合会

上記の職種に該当しない場合は、(一社)全国中小建設工事業団体連合会(全中連)への入会がおすすめです。全中連は、全国の中小建設事業者と同時に特定技能の受入れも全面的に支援する団体。登録支援機関の紹介も行っています。

また、経済安定化のための公的支援制度推進事業を行っているのも特徴のひとつ。加入しておくと中小建設事業者が活用できる補助金や助成金などの公的支援制度を案内してくれるので、経済的な負担を抑えながら事業が進められます。

全中連は専門的な事業を取り扱う「専門工事業団体」ではなく、建設工事業全般を取り扱う「総合工事業団体」。建設工事業を営む法人または個人事業主の方なら入会が可能なので、ぜひご検討ください。

全中連に加入する場合の費用は、以下のとおりです。

  • 入会金:無料
  • 年会費:12,000円

年度途中での入会の場合は、月割りで支払います。入会金が無料で年会費も安いので、上記のどの業務も行っていない場合は全中連に加入するのが良いでしょう。全中連への入会を希望するなら、電話で問い合わせてみましょう。

  • 問い合わせ電話番号:03-5651-7301

まとめ|建設業の専門工事業団体の相談ならKMTに!

まとめ|建設業の専門工事業団体の相談ならKMTに!

建設業の受入れには、JACへの入会が必要。JACへ安く入会するために必要なのが、専門工事業団体への入会です。JACの正会員である専門工事業団体に入会することで、間接的にJACに入会することになります。

とはいえ、専門工事業団体はたくさんあって、どの団体に入会したら良いのか分からなかったりどんな手続きを踏んだら良いのか分からないことも。そんな時には、建設分野の特定技能外国人の受入れ実績が高いKMTに一度お問い合わせください。KMTは、建設企業の一員として働く特定技能外国人の受入れを徹底的にサポート。おすすめの専門工事業団体のご紹介もしますので、ぜひ一度ご相談ください。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。