特定技能外国人を受け入れたいけれど、住まわせる住居をどうしたら良いのか分からない方は多いでしょう。いざ特定技能外国人を受入れようと思っても、住居にどのくらいの広さやスペースがあれば良いのか、特定技能外国人の住居確保の基準が分からず受け入れ時に戸惑ってしまうことも。

そこでこの記事では、特定技能外国人の住居の条件について徹底的に解説!徴収すべき費用や必要な広さについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

【知っておいてほしい】外国人が住居を確保するのは難しい

【知っておいてほしい】外国人が住居を確保するのは難しい

外国人が住居を確保することは、思った以上に難しいです。出入国在留管理庁が令和3年度に行った在留外国人に対する基礎調査では、住居探しにおける困りごとがある方が全体の約40%にのぼるという結果が出ました。

困りごとの内容はさまざまですが、「家を借りるためのお金が高かった」方もいれば、「外国人という理由だけで入居を断られてしまった」ことも。「保証人が見つからずに契約できない」のもよくあるケースです。また、契約時の説明は日本語で行われることが多いため、「外国語が通じずに敷金・礼金などの日本独自のルールがわからない」というケースもあります。

特に特定技能外国人は、ある程度の日本語は知ってはいるものの住居に関する契約などの難しい日本語は分からない方も多いでしょう。そのため、受入れ企業の支援なしでは外国人の住居確保は難しいでしょう。また、たとえ支援があったとしても外国人場合は入居条件が厳しく見られることもあり、特定技能外国人の受入れにあたって住居確保は難しい問題のひとつといえます。

参考:出入国在留管理庁 在留外国人に対する基礎調査(令和3年度)調査結果報告書 住居探しにおける困りごと

【注意】特定技能外国人を雇う場合は住居支援が義務

【注意】特定技能外国人を雇う場合は住居支援が義務

特定技能外国人を受入れる場合は、住居の支援が義務付けられています。受入れ機関が受入れ申請時に提出する「1号特定技能外国人支援計画」に住居支援の計画も含め、計画通りに支援を実行しなければなりません。

ただし住居支援の義務は1号のみで、特定技能2号の場合は住居支援は義務ではありません。住居支援は、1号特定技能外国人の希望にもとづいて行わなければならず、受入れ後に該当の特定技能外国人が転居する場合にも支援が必要です。

他の在留資格で入国する外国人への住居確保のサポートは必須ではありませんが、特定技能1号を受入れる場合は住居支援が必須。特定技能外国人がきちんと住居を確保するための支援体制が整っているか確認しておきましょう。

【確認】具体的な3つの住居支援の方法

【確認】具体的な3つの住居支援の方法

住居支援が必要なことは分かっても、具体的にはどうしたら良いのか分からない方もいるでしょう。特定技能外国人への住居支援は、以下のいずれかの方法で行うことが義務付けられています。

  1. 所有している寮や社宅を貸す
  2. 受入れ企業が契約した住居を貸す
  3. 本人が住居を借りるサポートをする

上記3つの住居支援の方法から、状況に合ったものを選びましょう。それぞれの住居支援方法について、詳しく解説します。

⑴所有している寮や社宅を貸す

受入れ企業が寮や社宅を持っている場合は、所有している寮や社宅を特定技能外国人に貸すのがスムーズです。特定技能外国人の同意を得ることで、スムーズに住居を確保することができます。

企業の寮や社宅を使う場合はライフラインを開通したり物件を探したりする手間が省けるため、住居の確保が楽になることもメリットのひとつ。一定のルールはありますが、受入れ企業側で賃金設定ができるため、ある程度賃料を安く設定することもできます。

さらに、一緒に住んでいる日本人労働者や他の外国人などと交流しやすくなるため、受入れ企業の寮や社宅がある場合はそこに住まわせるのが良いでしょう。ただ、日本人労働者も受入れ企業の寮などに住んでいる場合は、同等の業務を行う日本人と同等の家賃や広さを確保する必要があるので注意が必要です。

⑵受け入れ企業が賃貸借契約をした住居を貸す

受入れ企業が寮や社宅を持っていない場合は、受入れ企業が特定技能外国人に代わって賃貸借り契約をした住居を貸すのが良いでしょう。まずは受入れ企業が賃貸借契約をし、特定技能外国人に了承を得たうえで住居として提供する方法です。

この方法だと、特定技能外国人自身が部屋探しや契約をする必要がありません。日本語に不慣れな特定技能外国人が難しい契約手続きをすることが避けられ、契約をスムーズに済ませることができます。この方法の場合は、希望により受入れ企業が賃料を負担することも特定技能外国人に賃料を負担させることも可能です。

ただ、受入れ企業が勝手に賃貸借契約を結んでしまうと、特定技能外国人が納得できないこともあります。思ったような住居に住めなければ、それだけ日本での生活でストレスが溜まってしまい、安心して働けない原因にもなってしまいます。そのため、特定技能外国人が満足できる住居を探すためには、住居探しのときから特定技能外国人の希望を聞きながら進めていくのがおすすめです。

⑶特定技能外国人本人が住居を借りるサポートをする

特定技能外国人がすでに日本国内に居住している場合など、ある程度日本に慣れている場合は特定技能外国人本人に住居を借りさせることもできます。本人が賃貸借契約をして住居を借りる場合は、借りるためのサポートが必要です。受入れ企業は賃貸物件や不動産仲介業者などの情報を提供し、必要であれば特定技能外国人に付き添って住居探しのサポートを行います。

なお、賃貸借契約で連帯保証人が必要で適当な方がいない場合は、以下のいずれかのサポートを行わなければなりません。

  • 受入れ企業が連帯保証人になる
  • 利用可能な家賃債務保証業者を確保し、受入れ企業が緊急連絡先になる

家賃債務保証業者を使う場合は、保証料は受入れ企業が負担することになります。いずれにしても、特定技能外国人本人が住居を借りる場合は、のちにトラブルが起こらないように特定技能外国人が契約内容を十分に理解できていることを確認することが大切です。

住居支援する上で気をつけるべき3つのルール

住居支援する上で気をつけるべき3つのルール

特定技能外国人の住居を支援するときには、いくつか注意点があります。住居支援で気をつけたいルールは、以下の3つです。

  1. 居住スペースは一人当たり7.5㎡以上
  2. 受け入れ企業側が利益を得ない家賃設定に
  3. 本人が借りる場合以外は初期費用は徴収できない

3つの条件を守っていないと、受入れが取り消しになる可能性も。きちんと守っておくことで、特定技能外国人の日本での生活が充実したものになるはずです。住居支援で気をつけるべき3つのルールについて、詳しく解説します。

⑴居住スペースを一人当たり7.5㎡以上確保する

居住スペースは、一人当たり7.5㎡以上の広さが求められます。ただ、技能実習からの移行などで受入れ企業が確保している社宅などに引き続き居住することを希望する場合は7.5㎡以内でも構いません。その場合でも、技能実習生に求められている寝室について一人当たり4.5㎡以上は満たしていなければなりません。

なお、ルームシェアで居住スペースを共用する場合は、居住スペースを人数で割った面積が7.5㎡以上である必要があります。7.5㎡以上は約4.1畳なので、最低でも4畳半を基準にすればOKです。なお、居住スペースとは居住、執務、作業、集会、娯楽などのために継続的に使用するスペースのことを指すので、ロフトなどは含まれません。

⑵受け入れ企業側が利益を得ない家賃設定にする

受入れ企業が賃借人となるときは、受入れ企業が利益を得ない家賃設定にする必要があります。受入れ企業が借りた住居を特定技能外国人に貸す場合は、管理費や共益費を含めた賃貸契約に要する費用を入居する特定技能外国人の人数で割った額以内に設定しなければなりません。特定技能外国人が一人の場合は、家賃が管理費や共益費を含めた賃貸費用以上の額を請求してはいけないということです。

受入れ企業の寮や社宅を住居として貸す場合は、実際に建設や改築などに要した土地代を除く費用、物件の耐用年数、入居する特定技能外国人の人数などを考慮して算出した合理的な額であることが求められます。

いずれにしても、同等の作業を行う日本人労働者と同じ扱いで合理的な家賃設定をすることが大切。受入れ企業が利益を得るような家賃設定をしてはいけません。

⑶本人が借りる場合以外は初期費用の徴収はできない

本人が住居を借りる場合は、受入れ機関が敷金や礼金などの初期費用を負担する必要はありません。受入れ機関は、本人の希望や周辺の敷金の相場、報酬額などを踏まえて適切な住居の確保ができるように支援します。もし受入れ企業が希望する場合は、初期費用を一部または全額負担することも可能です。

一方受入れ機関が賃貸借契約を結んだ物件を提供する場合には、特定技能外国人への初期費用の徴収はできません。賃貸借契約者が受入れ企業の場合は、敷金や礼金などの初期費用は受入れ企業が負担します。また、月々の家賃から初期費用を徴収することもできません。

受入れ企業が賃貸借契約をする場合は、敷金や礼金などの初期費用が受入れ企業側にかかってくることを頭に入れておきましょう。

また、特定技能外国人の居住スペースに置いてある家具や家電、火災保険、損害保険などは、徴収費用が実費の範囲内で備品の耐用年数や入居する特定技能外国人の人数などを考慮して算出した合理的な額で、特定技能外国人側に利益がある場合に限り、徴収しても構いません。ただ、特定技能外国人が十分利益を理解して合意しているときのみ請求可能なので、基本的には徴収しないことを覚えておきましょう。

【忘れずに】どんな形態の住居でも自治体への届け出が必要です!

特定技能外国人の住居が確保できたら、忘れずに自治体への届け出を行うことも重要です。外国人は、住まいが確定してから90日以内に届け出を行う必要があります。もし届け出を提出し忘れてしまった場合は、在留資格が取り消されてしまうこともあります。居住先が決まったら、たとえ受入れ企業の寮や社宅であっても自治体へ届け出をしましょう。

日本人との交流促進に係る支援は、1号特定技能外国人の義務的支援のひとつ。受入れ企業または受入れ企業が支援を委託した登録支援機関は、地域の自治会などの案内を行い、イベント参加手続きのサポートを行ったり、必要に応じて特定技能外国人に同行して説明の補助などを行わなければなりません。

【困ったら】委託可能な登録支援機関へ相談しよう!

【困ったら】委託可能な登録支援機関へ相談しよう!

特定技能外国人の雇用には、住居の確保が必要。でも外国人が日本で住居を探すのは大変です。特に特定技能外国人の住居には条件もあり、受入れ企業も他の業務をこなす中で外国人を受入れるための住宅物件を探すのは簡単なことではないでしょう。

そもそも、直近2年間に外国人労働者の受入れ実績がない場合や生活相談に従事した役員・職員がいない場合は、受入れ企業はすべての支援を登録支援機関に委託しなければなりません。

登録支援機関は、受入れ業務のひとつである特定技能外国人の住居確保のためのサポートも委託が可能。登録支援機関に住居の支援も委託することで、受入れがぐんと楽になります。特定技能外国人の受入れが決まったら、特定技能外国人の支援実績が高い登録支援機関へ相談してみましょう。

まとめ|外国人の住居で困ったらKMTにご相談を!

特定技能外国人の受入れは、あれこれやることが多くてあたふたしてしまいがち。住居も確保しなければならないことを考えると、頭が破裂してしまいそうになりますね。特定技能外国人の受入れ実績の高い登録支援機関KMTなら、外国人の住居確保を含めて全面的に受入れをサポート。自社内でカンボジア・ベトナム・インドネシア・タイ・ミャンマー・英語の言語に対応が可能なので、母国語でのサポートも可能です。

特定技能外国人にとって、今後住むことになる住居は重要なポイント。快適な住居環境を提案することで、日本での生活が豊かになり働きやすい環境を整えることにもなります。日本にもっと長く住んで働きたいと思えるようにもなるでしょう。

とはいえ賃金についてよく理解できていないと、トラブルが発生することもある重要なポイントでもあります。外国人の住居探しで困ったら、母国語での対応が可能なKMTにぜひ一度ご相談ください。

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。