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技能実習から特定技能へ移行したいときに、随時3級や専門級の合格証が必要と聞き、戸惑ってはいませんか。そもそもなぜ、随時3級や専門級の合格証が必要になるのかよく分からない方もいるでしょう。

そこでこの記事では、特定技能になるための随時3級や専門級の必要性について、徹底的に解説します。試験の合格証明書が免除できるケースや試験に関するトラブル事例もご紹介するので、技能実習から特定技能への移行を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

技能実習評価試験とは?技能検定とは?何が違うの?

随時3級や専門級とは、技能実習評価試験や技能検定の等級区分です。しかし、そもそも技能実習評価試験とは何なのか、そしてなぜ2種類の異なる試験があるのか気になっている方もいるでしょう。

まずは、随時3級や専門級について知るうえで知っておきたい「技能実習評価試験」と「技能検定」についての4つのポイントを押さえておきましょう。

  • 技能実習評価試験とは
  • 技能検定とは
  • 技能検定の等級区分とは
  • 技能実習評価試験と技能検定の違い

まずは試験についてマスターしておくことで、頭をすっきり整理することができます。それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

技能実習評価試験とは

技能実習評価試験とは、在留資格「技能実習」の資格区分を移行させるために実施される試験です。例えば、技能実習1号から技能実習2号に移行するために試験を受け、合格すると技能実習2号になれます。技能実習評価試験には「初級」「中級」「専門級」「上級」の4つのレベルがあり、「専門級」は技能実習2号を良好に修了したことの証明としても使われます。

技能実習評価試験は技能検定の後にできたもので、技能検定では補えない分野で実施されることになったものです。法律により、技能実習計画に記載する技能実習の目的は「技能実習修了後に資格区分に見合った試験に合格すること」にするように定められています。そのため、技能実習の1号や2号、3号のいずれの場合でも修了するまでに技能実習評価試験を必ず受験しなければなりません。

それぞれの技能実習の資格区分で定めるべき目標は、以下のとおりです。

  • 技能実習1号の目標:技能実習評価試験の初級に合格すること
  • 技能実習2号の目標:技能実習評価試験の専門級に合格すること
  • 技能実習3号の目標:技能実習評価試験の上級に合格すること

それぞれの資格を修了するまでに、該当するレベルの技能実習評価試験を受け、合格することで次の資格区分への移行が認められます。既に技能実習3号の場合は次の等級がありませんが、技能実習の目標を達成して良好に修了したことや習得能力の証明になるため、技能実習3号でも技能実習評価試験の受験は必須です。

技能検定とは

一方技能検定とは、技能実習制度の始まる前から行われていた試験です。職種や作業ごとに学科試験と実技試験があり、技能検定に合格すると、「技能士」になることができます。技能検定には、以下の3つの方式があります。

  1. 【都道府県職業能力開発協会(協会)が定期的に実施するもの(都道府県方式定期試験)】:試験は日本語で年1回が基本。技能実習生のための試験ではないので外国人への配慮はなし。技能実習生なら別の試験がおすすめ。
  2. 【協会が随時試験で実施するもの(都道府県方式随時試験)】:技能実習生が対象。可能な限り監理団体の要望に応じて実施。試験問題の漢字にふりがなあり。基礎級学科試験にはローマ字のふりがなもあり。技能実習生におすすめの試験。
  3. 【厚生労働省が指定する試験期間が実施する者(指定試験機関方式)】:ビルクリーニング、機械保全職種のみ技能実習生が対象。試験問題の漢字にふりがなあり。実施場所や実施時期はそれぞれ異なる。

技能検定は、技能実習では技能実習評価試験と同じく技能実習生が次の等級に上がるために行われます。技能実習1号や2号、3号試験を修了するまでに技能実習評価試験か技能検定のいずれかを受験し、該当のレベルに合格しない場合は次の等級に進むことができません

以前は必須ではありませんでしたが、各等級の修了時には技能実習評価試験か技能検定のいずれかを受験することが必須になっています。

技能検定の等級区分とは

技能検定には特級から3級までに分かれた等級がありますが、技能実習生のための技能検定は随時2級、随時3級、基礎級に分かれています。上記の方式で、1の都道府県方式定期試験の等級が、「随時」のつかない2級、3級などで、2の都道府県方式随時試験の等級が、随時2級や随時3級などと呼ばれます。

随時2級・随時3級は技能検定の2級・3級、と同じ内容ですが、2級・3級は都道府県方式定期試験により外国人への配慮がないので、技能実習生には向いていません。技能実習のそれぞれの等級で定めるべき目標は、以下のとおりです。

  • 技能実習1号の目標:技能検定の基礎級(学科および実技)に合格すること
  • 技能実習2号の目標:技能検定の随時3級(実技)に合格すること
  • 技能実習3号の目標:技能検定の随時2級(実技)に合格すること

なお、技能検定の基礎級、随時3級、随時2級は、技能実習評価試験の初級、専門級、上級と同等のレベルです。

技能実習評価試験と技能検定の違い

技能実習評価試験は、技能検定にない職種のために技能検定のあとにつくられたものです。職種や作業により内容は異なりますが、どちらも同等の難易度です。違いは、技能実習評価試験では合格しても「技能士」と名乗ることができないのに対し、技能試験に合格すると「技能士」と名乗ることができること。「技能士」という名を手に入れたいなら、技能検定を受験するしかありません。

その他、技能実習評価試験は実技試験と学科試験のどちらにも合格しなければなりませんが、技能試験の場合は技能実習1号に求められる基礎級以外は実技試験のみへの合格で構いません。どちらの試験も、職種や作業により内容が異なるので、希望の職種の試験方式や試験内容をチェックしておきましょう。

「特定技能」試験免除になる要件は技能実習2号の良好修了!それを証明するには?

特定技能を取得するためには、技能試験と日本語試験の両方への合格が必要ですが、技能実習2号を良好に修了していると、技能試験と日本語試験両方の試験が免除になります!ただし、技能実習2号を良好に修了していることを証明しなければなりません。技能実習2号を良好に修了したことは、以下の2つのいずれかの方法で証明できます。

  1. 随時3級や専門級の合格証を提出
  2. 実習実施機関や監理団体作成の評価調書を提出

特定技能の試験を免除できれば、スムーズに特定技能になれるはず。ここからは、技能実習2号を良好に修了したことの証明となる2つの方法について、詳しく解説します。

①随時3級や専門級の合格証を提出

技能検定の「随時3級」または技能実習評価試験の「専門級」に合格していれば、その合格証が技能実習2号を良好に修了したことの証明となります。技能検定は、随時3級ではなくて3級の証明書でも認められます。

技能実習評価試験の受験資格は各分野により異なりますが、技能検定の受験資格は緩和されています。以下の方は技能検定の受験が可能です。

  • 6ヶ月以上の実務経験者
  • 工業高校・農業高校・技術専門校・専修学校・各種学校の卒業生・在学生、職業訓練修了生・訓練生等

以前は受験には1年以上の実務経験が必要でしたが、実務経験は6ヶ月以上でOKになりました。さらに、最終学年の在学生のみの受験が認められていた学生も、全ての在校生が受験できるようになり、多くの方の受験が可能になっています。

ただ、技能実習生は技能試験や技能実習評価試験の再試験が1回までと決められているため、しっかりと準備をして試験に臨みましょう。

②実習実施機関及び管理団体が作成した評価調書について

試験の合格証を提出できれば良いのですが、何らかの理由で試験の合格証が提出できない場合は、技能実習生に関する評価調書を提出します。評価調書を提出することでも、技能実習2号を良好に修了したことを証明できます。

評価調書は、技能実習を実施していた機関や技能実習の監理団体が作成します。技能実習2号を修了したのに試験を受けていない場合は、技能実習時の受入れ機関や監理団体に連絡し、評価調書の作成を依頼しましょう。評価調書は、技能実習を実施した日数、技能検定や技能実習評価試験の合否と受けていない理由や技能や日本語の習得状況、生活態度などが書かれた書類です。

正当な理由で評価調書も手に入らない場合は、評価調書が手に入らない理由を説明した理由書で特定技能への移行が認められる場合もあります。

評価調書について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてください。

特定技能における評価調書とは?必要となるケースや取得方法を解説!

「技能実習」から「特定技能」へ変更する場合には職種と業務区分を要チェック!

技能実習から特定技能へ変更する場合は、職種と業務区分をしっかりとチェックする必要があります。技能実習から特定技能へ変更する場合の注意点は、以下の2つです。

  1. 修了した技能実習により移行できる業務区分が異なる!
  2. 技能実習の途中中断はNG!2年10ヶ月以上修了が必要!

せっかく試験の合格証や評価調書を用意しても、他の条件が揃っていなくては特定技能への移行が認められなくなってしまいます。ここからは、特定技能に変更する場合の注意点について、詳しく解説します。

修了した技能実習によって移行できる特定技能の業務区分が異なる!

技能実習から特定技能に変更する場合は、修了した技能実習により移行できる特定技能の業務区分が異なります。まずは、技能実習から特定技能へ移行できる職種を厚生労働省のホームページから確認しておきましょう。

技能実習制度 移行対象職種・作業一覧はこちら

令和6年9月30日時点で91職種167作業が対象になっていて、一覧から技能実習評価試験の行われている職種もチェックできます。技能実習中の職種・作業で特定技能への移行ができるのかを確認しておくことが大切です。

技能実習時の職種や作業が特定技能への移行対象だと分かったら、次は特定技能での業務区分についてもチェックしてみましょう。

技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)の対応表はこちら

特定技能では、技能実習で行っていた作業に対応する分野(業務区分)で働くことになります。いくら試験に合格しても申請する業務区分が違っていては認めてもらえないので、技能実習時の職種・作業に対応する特定技能の業務区分もよく確かめておくことが大切です。

技能実習の途中中断はNG!2年10ヶ月以上修了している必要あり!

技能実習2号を良好に修了した証拠は、試験の合格証や評価調書だけではありません。技能実習は、前提として2年10ヶ月以上修了している必要があり、そのうえで試験の合格証か評価調書が必要です。そのため、技能実習を途中で中断してしまった場合は、いくら試験に合格しても特定技能への移行は認められません

技能実習は、1号で1年、2号で1年10ヶ月実施されるので、合計で2年10ヶ月行われます。この2年10ヶ月の間に技能実習を中断してしまうと、特定技能になれる条件を失ってしまいます。

ただ、技能実習3号になった場合には、技能実習1号が始まってから合計2年10ヶ月以上経っていれば技能実習2号を良好に修了した条件として認められます。この場合、あとは試験の合格証か評価調書があれば、途中で中断して特定技能に移行することも可能です。

技能実習と特定技能を行う企業が同一の場合は書類が省略可能!

技能実習から特定技能になるには随時3級や専門級の合格証か評価調書が必要ですが、免除できるケースもあります。それは、技能実習時の受入れ企業と特定技能を行う受入れ企業が同じ場合です。

この場合は、随時3級や専門級の合格証書や評価調書は省略できます。もし同じ企業で技能実習から特定技能に移行させる場合は、書類の省略が可能なので技能試験や技能実習評価試験、評価調書など技能実習2号を良好に修了した証明について頭を悩ませる必要はありません。

こんなときはどうする?トラブル事例3選

技能試験や技能実習評価試験の合格証は、特定技能への移行時に求められるケースがある書類。しかし、どんな書類にもトラブルはつきものです。技能試験や技能実習評価試験の合格証について、よくあるトラブルは以下の3つです。

  1. 専門級の合格証をなくしてしまった!
  2. 2017年以前で試験を受けられなかった!
  3. 実技試験は合格したけど学科試験に落ちた!

前もってよくあるトラブルを知っておくことで、実際にトラブルが起こったときに適切に対処ができるはずです。それぞれのトラブルについて、詳しく解説します。

①専門級の合格証を紛失してしまった

合格証をなくしてしまった場合は、有料ですが再発行ができます。技能実習評価試験の専門級の合格証の場合は再発行の手続きは分野ごとに異なるので、それぞれの分野ごとに公式ページから確認しておきましょう。

技能試験の場合は、受験した都道府県の都道府県職業能力開発協会に問い合わせ、再発行を依頼してください。再交付は申請すればできますが、1件につき2,000円の費用がかかります。そのため、試験の合格証はできるだけなくさないように注意して保管しておくことが大切です。

②2017年以前で随時3級/専門級を受験できなかった

技能実習では、2017年に技能実習2号修了までに技能試験の「随時3級」か技能実習評価試験の「専門級」への受験が義務化されました。以前は受験が必須ではなかったため、2017年以前に技能実習を終えて帰国した技能実習生は、随時3級や専門級を受験していない場合があります。

試験を受けていない場合は、技能実習時の受入れ機関に評価調書を作成してもらいます。技能実習生を良く知る受入れ機関に評価調書を書いてもらうことで、技能実習2号を良好に修了したことが証明できることがあります。随時3級や専門級を受験していなくても慌てず、技能実習の受入れ機関に評価調書の作成を依頼しましょう。

③実技試験は合格したけど学科試験に落ちてしまった

技能試験は実技試験のみの合格でOKですが、技能実習評価試験の場合は実技試験と学科試験の両方に合格しなければなりません。片方にでも落ちてしまったら、技能実習2号を良好に修了した証明にならないので、たとえ実技試験に合格しても学科試験に落ちてしまったらNGです。

もし技能実習評価試験で実技試験と学科試験の一方でも不合格になってしまった場合、技能実習生の場合は1度だけ再受験が可能です。再受験は1度のみなので、慎重に行いましょう。

まとめ|移行条件を確認して必要書類を揃えよう!

随時3級や専門級の合格証は、必要な場合と必要ない場合があります。すぐに用意できなくても免除できるケースもあるので、前もって確認しておくのがおすすめです。

技能実習から特定技能への移行は、簡単なようで必要書類がたくさんあり、準備は案外大変なもの。そんなときには、登録支援機関にサポートを委託するのも良いでしょう。登録支援機関なら、豊富な経験と知識で特定技能への移行をサポートできます。経験豊富な登録支援機関を探しているなら、ぜひ一度KMTにご相談ください

大房行政書士法人代表 / 株式会社KMT取締役
行政書士 大房明良 監修

東京都大田区蒲田に生まれ、大学在学中に訪れたカンボジアで学校建設ボランティアに参加し、貧困問題に興味を持つ。2016年に行政書士事務所を開業し、カンボジア語が話せる行政書士として入管業務を専門に行う。現在は特定技能申請をメイン業務とし、2023年5月現在で申請数は4500件を超える。
また、取締役を務める株式会社KMTでは、約600名の特定技能外国人の支援を行っている。