2026年3月27日、出入国在留管理庁より衝撃的な発表がありました。
特定技能「外食業分野」の在留資格認定証明書の交付申請について、2026年4月13日以降に受理した申請は不交付とする方針が公表されたのです。
さらに同日、OTAFF(一般社団法人外国人食品産業技能評価機構)およびプロメトリックからも、外食業の特定技能1号技能測定試験の予約手続きおよび試験実施を国内外ともに停止するとの発表がなされました。
日経新聞でも大きく取り上げられたこの措置は、2019年の特定技能制度創設以来、初めてとなる長期的な受入れ停止であり、外食業界にとって歴史的な転換点となっています。
本記事では、出入国在留管理庁・農林水産省・OTAFFの公式発表をもとに、制度変更の全容から今後の具体的な対策まで、登録支援機関の視点から徹底解説します。
目次
- 1 なぜ外食業の特定技能が停止されるのか?|背景と経緯
- 2 認定申請(COE)の取扱い|4月13日がデッドライン
- 3 在留資格変更申請の取扱い|転職の可否がポイント
- 4 特定活動(特定技能1号移行準備)の取扱い
- 5 試験予約・試験実施も停止!OTAFFとプロメトリックが正式発表
- 6 「外食業」と「飲食料品製造業」の違いを正しく理解する
- 7 受入機関への影響と今すぐ取るべき対応
- 8 特定技能2号への移行が今後のカギ|上限の対象外という大きなメリット
- 9 登録支援機関への影響|ビジネスモデルの転換が求められる
- 10 他分野にも波及する可能性|「早い者勝ち」の現実
- 11 各種申請の対応まとめ(早見表)
- 12 よくある質問(FAQ)
- 13 登録支援機関としてのKMTの対応
- 14 まとめ|外食業の特定技能は歴史的な転換期を迎えた
なぜ外食業の特定技能が停止されるのか?|背景と経緯
受入れ上限(受入れ見込数)制度のしくみ
特定技能制度では、各産業分野ごとに「受入れ見込数」が設定されています。これは、生産性向上や国内人材確保の取り組みを行ってもなお不足する人材数として政府が見積もったもので、事実上の受入れ上限として機能しています。
2026年1月の閣議決定では、特定技能制度全体で2028年度末までに19分野・合計80万5,000人の受入れ見込数が設定されました。このうち、外食業分野の上限は5万人(2024年度〜2028年度の5年間)と定められています。
外食業の在留者数の推移と上限到達
外食業分野は、特定技能制度の中でも特に人材の流入が多い分野でした。比較的参入しやすく、多くの外国人にとって日本で働く入口として機能してきたことが背景にあります。
しかし、2026年2月末時点で在留者数はすでに約4万6千人(速報値)に達しており、このペースが続けば2026年5月頃には上限の5万人を超えることが確実な状況となりました。
入管法(出入国管理及び難民認定法)第7条の2第3項および第4項では、在留者数が受入れ見込数を超えることが見込まれる場合、在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置を講じることが定められています。今回の措置はこの法的根拠に基づくもので、農林水産省と出入国在留管理庁が協議の上、2026年4月13日に停止措置を実施する方針を決定しました。
外食業の現状まとめ(2026年3月時点)
- 在留者数:約4万6千人(2026年2月末・速報値)
- 受入れ上限:5万人(2024〜2028年度の5年間)
- 上限到達見込み:2026年5月頃
- 認定申請の停止日:2026年4月13日
- 法的根拠:入管法第7条の2第3項・第4項
過去の前例|2022年の産業機械製造業分野
特定技能制度で受入れ上限に達したことによる停止措置は、2022年の産業機械製造業分野に続いて今回が2例目です。ただし、産業機械製造業のケースと比べ、今回の外食業の規模と影響範囲ははるかに大きく、日経新聞が報じた通り、これほど長期間にわたる停止は制度創設以来初めての事態です。
「提出」と「受理」の違いに要注意
今回の措置で基準となるのは、4月13日の「受理」日です。ここで注意すべきは、「提出」と「受理」は別物であるという点です。
窓口に書類を出した時点やオンラインで送信した時点が「提出」であり、入管側が書類を確認し受付番号を発行した時点が「受理」となります。4月12日に駆け込みで提出しても、不備があって受理が4月13日以降にずれ込めば、不交付の対象となる可能性があります。
認定申請(COE)の取扱い|4月13日がデッドライン
在留資格認定証明書交付申請(いわゆるCOE申請)は、海外にいる外国人を日本に呼び寄せるための手続きです。今回の措置による取扱いは以下のとおりです。
4月13日以降に受理された申請
不交付となります。海外から新たに外食業の特定技能人材を呼び寄せることは、事実上できなくなります。海外現地での面接を終え、入国を待機している候補者がいる場合でも、この日を境に入国ルートが断たれます。
4月12日までに受理された申請
審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次交付されます。ただし、重大な注意点があります。
4月12日以前の申請でも要注意
- 現に在留している方からの在留資格変更許可申請が優先的に処理される
- そのため、認定申請は交付までに相当な遅延が見込まれる
- 申請したからといって、すぐに許可が出るわけではない
- 受入れ上限の範囲内での交付のため、申請しても交付されない可能性もある
認定申請をご検討中の受入機関様は、4月12日までに申請を完了させる必要があります。ご依頼いただく場合は、お早めにご連絡ください。
在留資格変更申請の取扱い|転職の可否がポイント
在留資格変更許可申請については、申請者の状況によって対応が大きく異なります。正確に理解しておくことが重要です。
4月13日以降も通常どおり審査されるケース
変更申請が認められる場合(○)
- 外食業分野で特定技能1号として在留する方の申請(転職等)→ 通常どおり審査
- 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了した方→ 審査の上、上限の範囲内で順次許可(優先処理)
- すでに外食業の特定活動(特定技能1号移行準備)の許可を受けている方→ 審査の上、上限の範囲内で順次許可
ポイントは、すでに外食業分野で特定技能1号として働いている方が転職する場合は、引き続き変更申請が可能という点です。この方々はすでに5万人の枠内にカウントされているため、新たに枠を消費しません。新規入国が止まる今、この「国内転職者」の確保が唯一の即戦力採用ルートとなります。
4月13日以降、原則不許可となるケース
変更申請が認められない場合(×)
- 他業界から外食業への転職(例:製造業→外食業、農業→外食業)→ 原則不許可
- 留学等から新規で外食業の特定技能1号へ変更→ 原則不許可
なお、4月12日以前に受理された変更申請は、審査の上、上限の範囲内で順次許可されます。ただし、許可時点の在留者数の状況によっては、特定技能1号ではなく特定活動(特定技能1号移行準備)への変更を案内される場合があります。これは、上限枠の状況次第で特定技能1号の許可を出すことが難しくなった場合の措置です。
特定活動(特定技能1号移行準備)の取扱い
特定活動(特定技能1号移行準備)への変更申請についても、原則として不許可となります。
ただし、以下の3つのケースに限り、通常どおり審査が行われます。
特定活動の変更が認められる3つの例外
- 外食業分野で特定技能1号として在留する方からの申請(転職等に伴う申請)
- 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了した方からの申請
- 4月13日より前に受理した申請であって、3月27日までに食品産業特定技能協議会の加入申請を行っているもの
3つ目の条件については、すでに3月27日で締切が過ぎています。該当する案件をお持ちの方は、加入申請の証明ができるか確認しておきましょう。
なお、在留期間更新許可申請は影響を受けません。通常どおり審査されますので、現在外食業で特定技能1号として就労中の方が期間を更新する際には問題ありません。
試験予約・試験実施も停止!OTAFFとプロメトリックが正式発表
出入国在留管理庁の発表と同日(2026年3月27日)、外食業の特定技能1号試験に関する予約・実施が全面的に停止されました。
具体的には、OTAFF(一般社団法人外国人食品産業技能評価機構)が外食業の特定技能1号試験の予約手続きの停止を、プロメトリック(試験実施機関)が試験実施の停止を、それぞれ正式に発表しています。
試験停止の概要
- 農林水産省からの指示により停止
- 国内・国外ともに予約手続きが停止
- 試験実施自体も停止(プロメトリック発表:4月以降の試験告知も取消し)
- 再開のめどは農林水産省から示されていない
これは非常に大きなポイントです。申請がストップしただけでなく、試験自体もストップしたということは、今後新たに外食業分野で特定技能1号の資格を取得すること自体が不可能になったことを意味します。
一方で、以下の試験は予定どおり受付が継続されています。
停止の対象外となる試験
- 外食業の特定技能2号試験
- 飲食料品製造業の特定技能1号・2号試験
この点は、今後の人材戦略を考える上で非常に重要な情報です(後述の対策セクションで詳しく解説します)。
「外食業」と「飲食料品製造業」の違いを正しく理解する
今回の停止措置をきっかけに、「外食業」と「飲食料品製造業」の違いを正しく理解しておくことが重要です。どちらも食品に関わる分野ですが、特定技能制度上は別の分野として扱われています。
| 項目 | 外食業 | 飲食料品製造業 |
|---|---|---|
| 主な業務内容 | 飲食店での調理・接客・店舗管理 | 食品工場での製造・加工・衛生管理 |
| 対象事業所の例 | レストラン、居酒屋、ファストフード、給食 | 食品工場、弁当・惣菜工場、水産加工場 |
| 受入れ上限 | 5万人 | 13万9,000人 |
| 今回の停止措置 | 停止(申請・試験ともに) | 通常どおり |
| 1号試験 | 停止中 | 受付中 |
| 協議会 | 食品産業特定技能協議会(共同設置) | |
飲食料品製造業の特定技能は今回の措置の影響を受けていないため、食品関連で外国人材を活用したい企業にとっては、飲食料品製造業での受入れも選択肢の一つとなります。ただし、飲食料品製造業でも上限の半数を超えつつあるとの情報もあり、早めの対応が望ましい状況です。
なお、外食事業者が運営するセントラルキッチン(集中調理施設)は、飲食料品製造業として受入れ可能なケースがあります。ただし、売上比率や業務範囲に条件がありますので、個別にご相談ください。
受入機関への影響と今すぐ取るべき対応
今回の制度変更は、外食業分野で外国人材を活用している受入機関に多方面から影響を及ぼします。
短期的な影響
受入機関が直面する課題
- 海外からの新規人材の呼び寄せが不可能に
- 留学生や他業種からの外食業への転職ルートが事実上閉鎖
- 国内の既存外食業人材の取り合いが激化
- 人材確保コストの上昇が避けられない
- 採用を前提に確保していた候補者のビザ取得ができなくなるケースも
今すぐやるべきこと
受入機関が今すぐ取るべき5つのアクション
- 認定申請をご検討中の方は4月12日までに申請を完了させること(不備による受理遅延に注意)
- 現在雇用中の外食業特定技能人材の定着・リテンション施策を強化すること(待遇改善・職場環境整備)
- 在留期間更新のスケジュールを再確認し、期限切れを防ぐこと(更新は通常どおり審査)
- 飲食料品製造業など他分野での受入れも視野に入れること(セントラルキッチン等の活用)
- 既存人材の特定技能2号への移行を中長期的に検討すること(詳細は次セクションで解説)
特定技能2号への移行が今後のカギ|上限の対象外という大きなメリット
今回の停止措置を踏まえ、中長期的に最も重要な戦略となるのが特定技能2号への移行です。
特定技能2号のメリット
特定技能2号の主なメリット
- 分野別の受入れ上限の対象外のため、今回のような停止措置の影響を受けない
- 在留期間の更新に上限がなく、事実上の長期就労が可能
- 家族帯同(配偶者・子)が認められるため、定着率が向上する
- 1号で義務付けられていた生活支援が原則不要となり、企業の管理コストが軽減される
特に注目すべきは、2号は受入れ上限の対象外という点です。1号の枠がいくら埋まっても、2号であれば制限なく雇用を続けることができます。これは今回の事態を受けて、非常に大きな意味を持つポイントです。
特定技能2号への移行要件
ただし、特定技能2号への移行は容易ではありません。外食業分野で2号を取得するためには、飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験への合格と、一定の実務経験が求められます。
2号への移行に向けて受入機関がすべきこと
- 現在雇用中の1号人材のスキルアップ支援体制を構築する
- 2号試験に向けた学習計画を策定し、計画的に育成する
- 長期雇用を前提とした処遇改善(昇給制度・キャリアパスの明示)を行う
なお、外食業の特定技能2号試験は今回の停止措置の対象外であり、引き続き受験可能です。
登録支援機関への影響|ビジネスモデルの転換が求められる
今回の停止措置は、登録支援機関にとっても重大な影響があります。
外食業の新規案件が減少する
外食業は特定技能制度の中でも新規案件が多い人気分野でした。その入口が閉ざされることで、外食業を主力としていた登録支援機関は新規獲得が鈍化することが避けられません。
今後の方向性
登録支援機関が検討すべき方向性
- 既存支援人材の定着支援を強化し、更新・転職サポートの質を高める
- 飲食料品製造業など他分野への展開を進め、案件ポートフォリオを分散する
- 既存人材の2号移行に向けた教育支援を新たなサービスとして提供する
- 受入機関に対する制度変更の情報提供・コンサルティングを差別化要素とする
- 外食業以外の分野(介護・建設・宿泊業など)での新規クライアント開拓を加速する
他分野にも波及する可能性|「早い者勝ち」の現実
今回の外食業の停止は、他分野にとっても決して「対岸の火事」ではありません。
特定技能制度は分野ごとに受入れ上限が設定されている以上、どの分野でも上限に達すれば同じことが起こり得ます。すでに飲食料品製造業や農業など一部の分野では上限の半数を超えているとの情報もあります。
他分野の受入機関も注意すべきポイント
- 自社が該当する分野の在留者数と上限数を定期的に確認する
- 「必要になったら採用する」では間に合わない可能性がある
- 受入れ計画は余裕を持って前倒しで進める
- 制度変更は突然発表されるため、最新情報を常にキャッチアップする
各種申請の対応まとめ(早見表)
今回の制度変更による各種申請の取扱いを一覧でまとめます。
| 申請の種類 | 4月12日以前に受理 | 4月13日以降に受理 |
|---|---|---|
| 認定証明書交付申請(COE) | 審査の上、上限内で順次交付 (大幅な遅延の見込み) |
不交付 |
| 変更申請(外食業内の転職) | 通常どおり | 通常どおり |
| 変更申請(他業種→外食業) | 審査の上、上限内で順次許可 | 原則不許可 |
| 変更申請(留学→外食業) | 審査の上、上限内で順次許可 | 原則不許可 |
| 変更申請(技能実習・給食製造→外食業) | 通常どおり | 審査の上、上限内で順次許可(優先処理) |
| 特定活動(移行準備) | 条件付きで審査※ | 原則不許可(例外3パターンあり) |
| 在留期間更新 | 通常どおり | 通常どおり |
| 特定技能1号試験予約(外食業) | 国内外ともに停止中(再開時期未定) | |
| 特定技能2号試験予約(外食業) | 通常どおり受付中 | |
※4月13日より前に受理し、かつ3月27日までに食品産業特定技能協議会の加入申請を行っているもの
よくある質問(FAQ)
Q1. 現在すでに外食業で特定技能1号として働いている外国人への影響はありますか?
在留期間の更新は通常どおり審査されます。現在外食業で就労中の方が引き続き働く分には影響はありません。また、外食業内での転職(変更申請)も通常どおり審査されます。
Q2. 4月12日までに認定申請を出せば必ず許可されますか?
必ず許可されるわけではありません。上限の範囲内での交付となるため、申請数が上限を超える場合は交付されない可能性があります。また、在留資格変更申請が優先処理されるため、交付までに相当な遅延が生じる見込みです。
Q3. 飲食料品製造業は今回の影響を受けますか?
飲食料品製造業は今回の停止措置の対象外です。1号・2号ともに試験も受付中で、申請も通常どおりです。ただし、今後上限に近づく可能性もあるため、採用計画がある場合は早めの対応をお勧めします。
Q4. 試験の再開はいつ頃になりますか?
再開のめどは現時点で農林水産省から示されていません。制度上、在留者数が上限を下回る状況が生じれば再開の可能性はありますが、具体的な時期は不明です。
Q5. 今後、受入れ上限が引き上げられる可能性はありますか?
受入れ見込数は政府が5年ごとに見直す仕組みです。現在の5万人という上限は2024年度〜2028年度の設定であり、次の見直しは2029年度以降となります。ただし、制度見直しの閣議決定が前倒しされる可能性は完全には否定できません。いずれにせよ、当面は現在の上限の中で対応する必要があります。
登録支援機関としてのKMTの対応
今回の制度変更を受けて、登録支援機関である当社(株式会社KMT)としても、受入機関様に対し迅速かつ正確な対応を行ってまいります。
KMTがサポートできること
- 4月12日までの駆け込み認定申請のサポート(書類不備を防ぎ確実な受理を目指します)
- 変更申請・更新申請に関する最新情報のご提供と申請サポート
- 外食業以外の分野(飲食料品製造業・介護等)への切り替え相談
- 既存人材の定着に向けた支援計画の策定
- 特定技能2号への移行に向けた育成支援のご提案
当社は181社の取引実績と675人の支援実績を持つ登録支援機関として、7年にわたり特定技能外国人の支援を行ってまいりました。制度変更が激しい今こそ、正確な情報と迅速な対応が重要です。
特定技能「外食業」の受入れに関してお悩みの方は、ぜひお早めにご相談ください。
まとめ|外食業の特定技能は歴史的な転換期を迎えた
今回の発表により、特定技能「外食業分野」は以下のような状況に突入しました。
- 新規の海外人材の呼び寄せは事実上ストップ(認定申請不交付)
- 留学生や他分野からの変更申請も原則不許可
- 試験予約・実施も国内外で停止され、新規資格取得が不可能に
- 既存の国内人材の確保競争が激化
- 在留期間更新・外食業内の転職は引き続き可能
- 特定技能2号は上限の対象外であり、今後のカギを握る
この事態は、単なる制度上の調整にとどまりません。外食業界が特定技能人材に大きく依存してきた現実と、その入口が閉ざされたことによる構造的な変化を意味しています。
外食業界で特定技能人材の活用を継続するためには、既存人材の定着施策の強化、特定技能2号への移行戦略、そして制度変更への迅速な対応がこれまで以上に重要になります。
※本記事は2026年3月27日時点の出入国在留管理庁、農林水産省、OTAFF、プロメトリックの公表情報に基づいて作成しています。最新情報は以下の公式ページをご確認ください。


